あらすじ
古都、鎌倉。静かな住宅街の一角に、ひっそりと佇む古書店「本のすみか」。その店には、店主の老紳士・蔵之介が収集した、恐ろしい過去を持つ古本が並んでいた。ある日、その店に迷い込んだのは、ホラー小説が大好きな女子高生・美羽。蔵之介との出会いをきっかけに、美羽は古本に秘められた呪い、そして、自分自身の運命が深く結びついていることを知る。
物語
鎌倉の街並みを眺めながら、美羽は古い書店の引き戸を開けた。店内は、本の香りが漂い、薄暗い照明が不気味な雰囲気を作り出していた。奥のカウンターには、眼鏡をかけた穏やかな老紳士が座っていた。蔵之介と名乗る彼は、美羽を薄笑いで迎えた。
「何かお探しですか？」
蔵之介の不気味な笑みに、美羽は背筋が寒くなったが、気を取り直して答えた。「ホラー小説を探しているんです。」
蔵之介は頷き、奥の書棚から一冊の古びた本を取り出した。「これはどうでしょう。初版本で、なかなか手に入らないものです。」
美羽は本の表紙を指でなぞり、興味津々に見入った。しかし、その本にはタイトルも著者名も記されていなかった。
「これは…？」
「これは、私が世界中を旅して集めた本の一つです。この本には、恐ろしい秘密が隠されているんですよ。」
蔵之介の言葉に、美羽はゾッとした。
「恐ろしい秘密…？」
「ええ。この本を読むと、悪夢にうなされるようになるかもしれません。あるいは、現実に恐ろしい出来事が起こる可能性もあります。」
半信半疑の美羽だったが、恐怖心よりも好奇心が勝ち、その本を購入することにした。
その夜、美羽はベッドに横になり、購入した本を開いた。すると、ページをめくるたびに、悪夢のような光景が目に浮かんでくる。血塗られた部屋、怨霊の叫び声、そして、自分の顔が歪んでいく様子。美羽は、恐怖のあまり、布団に顔をうずめた。
翌日、学校へ向かう途中、美羽はいつもと違う道を通った。すると、道端で見たことのない人形が立っていた。近づいてみると、人形の目は真っ黒で、不気味にこちらを見つめていた。美羽は、心臓がバクバクと鳴るのを抑えられなかった。
その日から、美羽の周りで不可解な出来事が起こり始めた。夜中に物音がしたり、鏡に映る自分の顔が歪んで見えたりする。美羽は、自分が買った古本の呪いにかけられているのではないかと、恐怖に震えた。
ある夜、美羽は眠れずにベッドから起き上がり、購入した本を開いた。すると、本のページが勝手にめくれ、最後のページに恐ろしい呪いの言葉が書かれていた。
「この本を読んだ者は、永遠の呪いを受けるだろう。」
その言葉を読んだ瞬間、美羽の部屋の電気が消え、窓の外から怨霊の叫び声が聞こえてきた。
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