カップラーメンのちょっとした冒険　（怖い話　奇妙な話　不思議な話）

夏の暑い日、専業主婦の美恵子は、エアコンの効いたリビングでインターネットショッピングを楽しんでいた。家事の合間にちょっとした楽しみ、それが彼女の「お昼のカップラーメン」だ。今日は何味にしようかと心躍らせる。

その時、ふと目に留まったのは「ごちゃまぜ味カップラーメン 8食セット」だった。名前からして奇妙だが、どうやら色々な味のカップラーメンが詰め合わせになっているらしい。しかも、メーカーの名前が聞いたこともない。「なんだこれ？」と疑いながらも、好奇心に勝てずにクリックしてしまった。3000円…少し高いが、試してみる価値はあるかもしれない。

数日後、届いた小包を開けると、そこには見たこともないようなカップラーメンが並んでいた。ラベルには「焼き肉味」「エビチリ味」「ゴーヤーチャンプル味」など、ラーメンの常識を超えた味が書かれている。美恵子は思わず顔をほころばせた。「ラーメン以外で好きなものばかりじゃない！」

一番興味をそそられたのは「焼き肉味」だった。さっそくお湯を沸かし、ラーメンに注いだ。3分待つ間、期待が膨らむ。そして、蓋を開けると、湯気と共に広がる焼き肉の香ばしい匂い。美恵子は一口食べて驚いた。「まさしく焼き肉の味！」。まるで実際に焼き肉を食べているかのような、しかしそれがラーメンと絶妙に融合しているのだ。

次に試した「エビチリ味」も同様だった。ピリ辛のエビチリの風味が、ラーメンのスープと絡み合い、舌の上で広がる。これもまた、エビチリを食べているかのようだが、ラーメンの食感が楽しめる。

「ゴーヤーチャンプル味」も、苦味と卵のコクがラーメンに見事に溶け込んでいた。美恵子は一人、笑いをこらえながらラーメンをすすった。「まさか、こんなカップラーメンがあるなんてね。」

その日から、美恵子のお昼は、毎日が冒険になった。カップラーメンひとつひとつが、新しい発見であり、驚きであり、そして喜びだった。彼女は、その奇妙な8食セットが終わるまで、毎日楽しみながら昼食をとった。

最後の一食を食べ終わる頃、美恵子はふと、あのカップラーメンを作ったメーカーのことが気になった。もう一度購入しようとサイトを訪ねたが、そのページはすでに存在していなかった。

それ以来、あの「ごちゃまぜ味カップラーメン」は、美恵子の心の中で、少し奇妙で不思議な夏の日の思い出として刻まれた。どこかでまた、あのカップラーメンに出会える日が来るのを、彼女は密かに願っているのだった。

人気 カップ麺 12種類 詰め合わせ セット 12個アソート 新品価格 ￥2,980から (2024/8/9 15:23時点)

新着 ザワつく金曜日 入選 ご当地 繁盛店カップラーメン 特集 豪華版 リピートしたくなる20種セット 送料無料 価格:6580円 (2024/8/9 15:25時点) 感想(1件)

ほんとうにあった怖い話「年上の彼女」

ページをめくってゾッとする　1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 (2024/7/23 13:25時点) 感想(1件)