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不思議な山の暴風雨 (怖い話 奇妙な話 不思議な話)

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その日は、夏休みの終わりごろだった。僕と友達のタクヤ、そして他のクラスメート数人で、学校の近くにある小さな山に遊びに行くことになった。山といっても標高はそれほど高くなく、山頂まで登っても1時間もかからないほどの小さな山だ。でも、子供たちにとっては冒険の舞台で、僕たちは何度もその山に登り、探検ごっこをしたり虫を捕まえたりして遊んでいた。

その日も特に変わったことはなかった。朝から快晴で、雲一つない青空が広がっていた。みんなで山に登り、いつものように山頂でお弁当を広げて、楽しい時間を過ごしていた。僕たちはただのんびりと過ごし、山の新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込みながら、心地よい日差しの中で休んでいた。

お弁当を食べ終わった後、タクヤが急に「ちょっと山の奥まで行ってみない?」と言い出した。いつも行く場所からは少しだけ奥に進んだところに、僕たちがまだ行ったことのないエリアがあると聞いていた。少し冒険心が刺激され、僕も「いいね、行ってみよう!」と賛成した。

タクヤと僕の二人は、みんなには黙ってこっそりと山道を奥へ進んだ。最初は順調に進んでいたが、しばらくすると突然空が暗くなり始めた。それまでの青空が嘘のように、黒い雲が急に広がり始めたのだ。僕たちは顔を見合わせ、どうしようかと考えたが、戻るのも少し遅いと感じ、もう少しだけ進むことにした。

しかし、決断を後悔するのはそれからすぐのことだった。いきなり猛烈な風が吹き荒れ、木々が大きく揺れ始めた。雷鳴が遠くで鳴り響き、次の瞬間には土砂降りの雨が降り始めた。タクヤと僕は急いで木陰に避難しようとしたが、風が強すぎて体を支えるのがやっとだった。雨はあっという間に僕たちをびしょ濡れにし、視界もほとんどゼロになってしまった。

「タクヤ、大丈夫か?」僕は叫びながらタクヤに手を伸ばした。タクヤも必死に僕の手を握り返し、「ヤバい、早く戻ろう!」と叫んだ。僕たちは風に逆らいながら、互いに体を支え合って元の場所に戻ろうと必死になった。道が分からなくなりかけたが、なんとか覚えていた目印を頼りに、少しずつ戻って行った。

長い時間が経ったように感じたが、実際には数分しか経っていなかったのかもしれない。ようやく元の場所にたどり着いたとき、驚いたことに天気は再び晴れ渡っていた。先ほどの暴風雨が嘘のように、青空が広がり、クラスメートたちは楽しそうに遊んでいた。まるで何事もなかったかのように。

僕たちはびしょ濡れで息を切らしながら戻ってきたので、みんなが驚いて駆け寄ってきた。「どうしたの、そんなに濡れて!」と驚くクラスメートたちに、僕とタクヤは「さっき、ものすごい大雨が降ったんだよ!台風みたいだった!」と説明した。しかし、彼らは不思議そうな顔をして、「何言ってるの?ずっといい天気だったよ?」と言うのだ。

「そんなはずない!本当に大雨が降ったんだ!すごい風だったんだ!」僕たちは必死に説明したが、最初は誰も信じてくれなかった。それどころか、冗談だと思って笑い飛ばされた。しかし、僕とタクヤが真剣に話すうちに、少しずつみんなもその話を信じ始めたようだった。

その後、僕たちは山を下りて家に帰った。タクヤも僕も、あの暴風雨が何だったのか、どうして他のみんなには何も起きなかったのか、今でも不思議でならない。もしかしたら、あの時だけ僕たちが別の世界に迷い込んだのかもしれない、とすら思う。

あの出来事は、今でも僕の中で不思議な体験として心に残っている。そして、タクヤとあの時のことを話すたびに、僕たちはその謎を解明しようとするが、結局答えは見つからないままだ。それが、山の神様のいたずらだったのか、ただの自然現象だったのか、今でもわからない。

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