これは、あるエンジニアがデータセンターの仮眠室で体験した話です。彼が勤務していたデータセンターは、24時間稼働しており、深夜シフトのスタッフは仮眠を取ることが許されていました。仮眠室は、サーバールームから少し離れた静かな場所にあり、長時間のシフトでもリフレッシュできるように整えられています。
その仮眠室は、簡素なベッドがいくつか並んでいるだけのシンプルな部屋で、照明も暗めに設定されていました。部屋には時計の音が静かに響き、スタッフが交代で仮眠を取るため、ほとんど無人の状態が続いていました。
その夜、彼は深夜のシフトに入っていました。仕事の合間に一息つこうと、午前3時ごろに仮眠を取ることにしました。彼が仮眠室に入ると、薄暗い部屋には他に誰もいませんでした。疲れもあって、彼はベッドに横たわるとすぐに眠りに落ちました。
しばらくして、彼はふと目を覚ましました。部屋は真っ暗で、仮眠室特有の静寂が広がっていました。だが、何かが妙でした。ベッドに横たわったまま、彼は耳を澄ませました。すると、かすかに「カサ…カサ…」という音が聞こえてきました。最初は、隣の部屋から聞こえる物音かと思いましたが、その音は次第に近づいてくるように感じました。
彼はベッドから起き上がろうとしましたが、体が動きません。まるで金縛りにあったかのように、体が硬直してしまったのです。心の中で「何かがおかしい」と思いながら、必死に体を動かそうとしましたが、指一本動かすことができませんでした。すると、視界の端に何かが動くのを感じました。
暗闇の中、仮眠室の隅に、ぼんやりとした人影が見えました。その影は、ゆっくりとこちらに近づいてきます。姿ははっきりしませんが、白い服を着た女性のようにも見えました。彼の心臓は激しく鼓動し、恐怖で冷や汗が流れました。影は無言のまま彼のベッドの脇まで来て、じっと彼を見下ろしているようでした。
何かが囁くような音が聞こえましたが、その言葉は理解できません。ただ、耳元で低い声が繰り返されるたびに、彼の恐怖心は増していきました。その瞬間、彼の体に重い圧力がかかり、息が詰まるような感覚に襲われました。まるで誰かが上から押さえつけているかのようでした。
「逃げなければ」と思っても、体は動かず、目を閉じようとしても閉じることができません。ただ、その影を見続けるしかありませんでした。彼が完全に絶望しそうになったその時、突然、部屋のドアが開き、別のスタッフが仮眠室に入ってきました。部屋の照明が点灯すると、その影は一瞬で消え去りました。
体が急に解放され、彼は息を切らしながら起き上がりました。仮眠室に入ってきたスタッフは彼の顔色が悪いのを見て「大丈夫か?」と心配しましたが、彼はその時の恐怖をうまく説明できませんでした。
その後、彼は再び仮眠室で眠ることが怖くなり、どうしても必要な時以外は仮眠を避けるようになりました。他のスタッフにも「仮眠室で何かを見た」と話してみたところ、同僚の一人が「実は自分も、同じような影を見たことがある」と打ち明けてくれました。その仮眠室では、過去にも複数のスタッフが金縛りに遭い、同じような人影を目撃していたというのです。
今でも彼はそのデータセンターで働いていますが、仮眠室に入る際には常に不安が付きまといます。特に深夜になると、あの影が再び現れるのではないかと考えると、安眠できる日はほとんどありません。それでも業務をこなすために、彼は何とか気持ちを落ち着けて仕事を続けています。
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