それは、仕事が忙しく、連日疲労がたまっていた頃のことでした。その晩、いつもより早くベッドに入り、すぐに眠りにつきました。夜中にふと目が覚めたとき、体が動かないことに気付きました。「また金縛りか…」と思いつつも、慣れていたせいか、最初は特に怖さを感じていませんでした。
しかし、いつもと違うのは、何も見えないのに「何かがそこにいる」という感覚があったことです。耳をすませると、かすかに聞こえてくる音がありました。それは、どこか遠くで人が歩くような足音。カツ、カツ…とゆっくりとしたリズムで鳴っていました。
足音は徐々に近づいてきます。最初は遠くから聞こえていたのが、だんだんと部屋の中に響き始めました。その音が私の部屋の扉の前で止まると、心臓が一気に高鳴り始めました。ドアがゆっくりと開く音が聞こえ、誰かが部屋に入ってきたのが分かります。
「誰かがいる…」そう思った瞬間、耳元で小さな囁き声がしました。はっきりとした言葉ではなく、何かを低く呟いているような不気味な音です。まるで、遠くで複数の人が何かを話しているかのように、ぼそぼそとした声が次第に大きくなっていきます。私は必死に目を閉じ、聞こえないようにしようとしましたが、その声は耳元で直接囁かれているかのように鮮明でした。
さらに恐ろしいのは、その声が次第に明確になり、「こっちを見て…」という言葉がはっきり聞こえた瞬間です。全身が冷たくなり、息が詰まるような恐怖が襲いました。目を開けたら何かが見えてしまうかもしれないという強烈な不安が私を縛りつけました。私は必死に「早く終わってくれ」と心の中で繰り返し願いました。
その囁き声が一度途切れたと思った瞬間、足音が再び聞こえ始め、今度はベッドの周りをゆっくりと歩き回る音がします。私は動けず、ただその音が一周するのを耐えるしかありませんでした。足音が止まった瞬間、耳元で再び「見て…」という囁きが聞こえ、その後、部屋は急に静寂に包まれました。
ようやく体が動くようになり、急いで部屋の電気をつけましたが、誰もいないことが分かりました。それでも、耳にはまだ囁き声が残響のように残っており、しばらくの間、震えが止まりませんでした。その後も何日か夜中に目が覚めるたび、あの足音と囁きが聞こえてくるのではないかという恐怖が頭を離れませんでした。
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