消える村：決して帰ってはいけない“帰らずの集落”の真実　（怖い話　奇妙な話　不思議な話）

ある地方に、「帰らずの集落」と呼ばれる村が存在するという噂があります。その村に迷い込んだ者は、二度と戻ってこない——そんな恐ろしい言い伝えです。この噂は、長年地元の人々の間で囁かれてきましたが、地図にはその村の名前すら記載されていません。

大学生の佳奈とその友人たち四人は、都市伝説を検証するYouTubeチャンネルを運営しており、次の企画としてこの「帰らずの集落」に挑むことにしました。地元の人々に話を聞いても、誰もその場所を詳しく教えてはくれません。ただ、「その道には行くな」と口を揃えて忠告するだけでした。

彼らはその警告を無視し、ネットで見つけた手がかりを頼りに車を走らせました。やがて、山間の細い道に差し掛かり、どんどん人気のない奥地へと進んでいきます。道中、突然携帯の電波が途切れ、GPSも役に立たなくなりました。

「これ、本当に大丈夫か？」と仲間の一人が不安を口にしましたが、佳奈は「面白い映像が撮れるかもしれないじゃん」と笑いながら進むよう促しました。

やがて、一行は古びた鳥居の前にたどり着きました。その先には荒れ果てた道が続いており、かすかに古い集落の跡が見えます。鳥居には「歓迎」の文字がかすれた赤いペンキで書かれており、不気味さを漂わせていました。

鳥居をくぐった瞬間、辺りの空気が急に冷たくなり、風が吹き抜けました。道を進むと、やがて朽ち果てた民家が立ち並ぶ廃村に到着しました。全ての家は崩れかけており、窓は割れ、草木が建物に絡みついています。

彼らはカメラを回しながら探索を始めましたが、次第に奇妙な現象が起こり始めます。風もないのに窓が音を立てて閉まり、遠くから足音のような音が響いてきます。そして、何よりも恐ろしかったのは、村の奥にある大きな井戸でした。

その井戸には古びた木の蓋がかぶせられており、周囲には無数の手形が残されていました。「これ、ヤバくない？」と誰かが言いましたが、佳奈は怖がる仲間たちをなだめ、「ちょっとだけ覗いてみようよ」と提案しました。

蓋を少しずらし、井戸の中を覗き込んだ瞬間——暗闇の中から何かがこちらを見つめているのが見えました。それは人間の目のようでしたが、明らかに異質なものでした。突然、井戸の中から冷たい手が伸び、蓋を引き戻そうとしました。

「逃げろ！」仲間たちは一斉に走り出し、車に向かって猛スピードで駆け出しました。しかし、誰かが叫び声を上げました。「佳奈がいない！」振り返ると、佳奈は井戸の近くで倒れており、動かなくなっていました。

どうにか彼女を車に運び込んだものの、佳奈は目を覚まさず、ただ無表情で何かを呟き続けています。「帰らない、帰らない……」

そのまま彼女は二度と正気に戻ることはなく、病院で入院後、病院から抜け出してしまい、行方不明者となりました。奇妙なのは、その後、佳奈と共に訪れた他のメンバーも次々と不可解な事故に巻き込まれ、全員消息を絶ってしまったことです。

地元の人々は今も、あの集落に近づこうとしません。噂によれば、あの村は決して訪れた者を返さず、呪われた住人として取り込んでしまうのだとか。そして、村はその度に新しい犠牲者を求めて姿を変え、現れる場所も移動するのです。

もしもあなたがどこかで「帰らずの集落」という名前を聞いたら、どうか立ち止まってください。その場所がどこであれ、そこへ足を踏み入れれば、もう二度と戻ることはできないのですから——。

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