怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

誰もいないはずの部屋で聞こえた物音 (怖い話 奇妙な話 不思議な話)

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その夜、私は珍しく深夜まで起きていた。外は冷え込んでおり、風が窓を揺らす音がかすかに聞こえていた。冬の夜特有の静寂の中、私は部屋で読書に没頭していた。しかし、時計が午前2時を過ぎた頃だろうか、疲れがどっと押し寄せ、ベットに入り眠りに落ちた。

眠りについてどれくらい経っただろうか。ふと、何かの物音で目が覚めた。耳を澄ますと、カタ…カタ…と、何かが微かに動く音が聞こえてきた。隣室には誰もいないし、私は一人暮らしだ。風が物に当たって音を立てているのだろうか。それとも、単に寝ぼけているだけなのかもしれない。私はそんな風に自分を納得させ、もう一度目を閉じようとした。

しかし、その音は止まることなく続いていた。まるで、何かがわざとこちらに気付かせるように、ゆっくりと不気味なリズムで響いているように感じた。私は完全に目が覚め、薄暗い部屋を見回した。机の上には読みかけの本が置かれ、デスクライトのほのかな光がかすかに部屋を照らしているだけだ。どこかで物が揺れているような、妙な音がする。

気のせいだ、そう思おうとしたが、どうしても違和感が拭えない。私は意を決してベッドから立ち上がり、音の発生源を確かめようとした。音がするのは、どうやら窓の方からだ。冬の夜の冷気が漏れ出しているのを感じ、嫌な予感が胸をよぎった。

私はゆっくりと窓の方へ近づいた。すると、そこには驚くべき光景があった。閉めたはずの窓が、わずかに開いているのだ。私は背筋が凍るような感覚を覚えた。外は真っ暗で、風が冷たく、重々しい空気が部屋の中に流れ込んでいる。窓を開けた覚えはない。しっかりと閉めたはずだ。なぜ開いているのだろうか? まさか泥棒でも入ったのか? だが、他に物が荒らされた形跡はない。

私は恐る恐る窓を閉めようと手を伸ばした。その瞬間、背後から冷たい何かが私の首筋に触れた気がした。息を呑み、一瞬で全身が凍りついた。恐怖に駆られ、反射的に振り返ったが、そこには何もいない。空っぽの部屋が広がるだけだ。

だが、確かに感じた。冷たいものが、まるで氷のような指先が私の首に触れた感触が残っている。私は心臓がドクドクと鼓動する音を聞きながら、恐怖に震えた。誰もいないはずだ。この部屋には私一人だけだ。だが、確かに何かがここにいる。

その時、部屋の隅で何かが動いたように見えた。暗がりの中、そこには小さな影がかすかに揺れていた。目を凝らしてもはっきりとは見えないが、何かがそこにいるような気配が確かに感じられた。私は慌てて部屋の明かりをつけた。

しかし、光が部屋全体を照らすと、そこには何もない。ただ静寂が支配し、先ほどの気配は霧散したように消え去っていた。私は震える手で窓を閉め、鍵をかけた。それでも、何かがまだ部屋の中に潜んでいるような感覚が拭えない。恐怖に駆られながらも、私は何度も部屋を見回し、ようやくベッドに戻ったが、睡眠など到底無理だった。

その夜、私は一睡もできず、ただ時間が過ぎるのを待つしかなかった。朝日が昇ると、恐怖は少しだけ和らいだが、あの不気味な感覚は消えない。日中でも部屋に一人でいると、あの冷たい感触が思い出され、首筋にじんわりと鳥肌が立つのだ。

それから数日が経ち、私は再び普段の生活に戻ろうとしたが、どうしてもあの夜の出来事が頭を離れない。あれは一体何だったのか? 誰かが忍び込んでいたのか、それとも私の心が疲れていたせいなのか? それとも、もっと別の……説明できない存在だったのか?

一つだけ確かなのは、あの窓が勝手に開いていた理由は解明できないままだということだ。以降、私はその部屋で再び同じ現象に遭遇することはなかったが、夜になると必ず窓がしっかりと閉まっているか確認するようになった。少しでも開いていたら、あの冷たい指先が再び私に触れるような気がしてならない。

そして時々、ふと夜中に目を覚ますと、あの時の冷たい感触を思い出す。もしかしたら、まだその何かが、私のすぐ背後でじっとこちらを見つめているのかもしれない。誰もいないはずの部屋で、何かが静かに息を潜めている——そう感じるときがある。

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