これは、海沿いのリゾート地で働いた大学生のBさんが体験した話です。Bさんは夏休みを利用して、人気のリゾートホテルでのバイトをすることにしました。そのホテルは、絶景の海が一望できることで有名で、観光シーズンには多くの宿泊客が訪れます。Bさんはフロント業務を担当し、チェックインや観光案内を行う仕事をしていました。
初めてのリゾートバイトでしたが、同僚も親切で、仕事にすぐに慣れることができました。忙しい日々を送りながらも、バイト後には海で遊んだり、観光スポットを巡ったりと、充実した毎日を過ごしていました。
しかし、ある夜、Bさんは奇妙な体験をします。その日は、ホテルの深夜シフトで、夜勤を担当していました。夜は宿泊客も静まり返り、フロントはほとんど無人状態。ロビーの明かりだけがぼんやりと灯っており、夜風が窓越しに吹き込んでいました。
夜中の2時過ぎ、Bさんはロビーのソファで少し休憩を取ることにしました。目を閉じてうとうとしていたその時、突然、フロントのカウンターの方から「トントン…」という軽いノック音が聞こえてきました。
「誰かいるのかな?」と不思議に思ったBさんは、音のする方に目をやりましたが、そこには誰もいません。ロビーには自分一人だけしかいないはずです。気のせいだろうと思い、再び目を閉じようとしましたが、今度はさらに大きく「トントントン…」と連続したノック音が響きました。
さすがに気味が悪くなり、Bさんはフロントカウンターに近づいてみました。しかし、そこにはやはり誰もいません。カウンターの上には宿泊者の鍵やメモが置かれているだけで、物が動いた形跡もありませんでした。
「風のせいかな…」と呟きながら、Bさんは元の位置に戻ろうとしました。その時、突然背後からひんやりとした冷気を感じ、思わず振り返りました。すると、カウンターの向こう側に人影がぼんやりと立っているのが見えました。
その人影は、髪の長い女性のようでした。顔ははっきりとは見えませんが、白いワンピースのような服を着て、じっとこちらを見つめているように感じました。驚いたBさんが一歩後ずさると、その影はフッと消えました。
「何だったんだ…?」恐怖に駆られながらも、Bさんはフロント業務を続けましたが、その後も何度か「トントン…」という音が聞こえてきました。その度に、背後に視線を感じるのです。怖さを抑えきれず、Bさんは業務が終わるまでずっと緊張し続けました。
翌日、Bさんはその話を同僚にしました。すると、驚くことに同僚たちも同じ体験をしていたことがわかりました。特に深夜シフトの時に、フロントカウンターでノック音が聞こえたり、人影が見えたりするというのです。その女性の影は、どうやらホテルの従業員の間でも有名な「噂」になっており、何年も前から頻繁に目撃されているとのことでした。
さらに調べてみると、そのホテルはかつて何度か改装されていることが判明しました。特に海沿いのこの場所では、かつて事故や事件があったという噂が多く、その影はホテルが改装された頃から現れるようになったと言われています。
Bさんはそれ以来、深夜シフトが怖くなり、なるべく昼間の勤務を希望するようになりました。あの時見た女性の影が何だったのか、今でも不気味に感じています。リゾートバイトは楽しかったものの、あのホテルでの深夜の出来事だけは忘れることができません。
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