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冬の海に現れた白いワンピースの女――忘れられない恐怖の記憶 怖い話 奇妙な話 不思議な話

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大学3年生の僕と友人たちは、冬休みを利用してドライブ旅行に出かけた。目的地は、人気の観光地から少し外れた静かな海岸。男4人での旅は、学生らしい自由な雰囲気に包まれていた。冬の冷たい空気の中で、僕たちは山道を抜けて海へと向かっていた。

道中、車通りの少ない細い山道を走っていると、ある場所で突然、車内が静まり返った。運転していた私が、前方をじっと見つめてブレーキを軽く踏んだ。「なんだ、あれ……?」助手席の健太がつぶやいた。僕も前方に目を凝らすと、そこには白いワンピースを着た女性が一人、ゆっくりと歩いていた。

髪は背中まで垂れるほど長く、寒い冬には場違いとも言える薄手の服装。彼女の足元は、まるで地面に触れていないかのようにふわりと動いていた。遠目にはただの女性に見えるはずなのに、なぜか背筋に寒気が走る。この世のものではない、そんな違和感が僕の中に渦巻いていた。

「おい、今見たか?」助手席にいた健太が僕に声をかけた。「ああ、見た。あれ、変だよな……」二人だけでその異様さについて話し合った。他の二人、後部座席の翔太と悠人は「何が変なんだよ」と、けげんそうな顔をする。彼らには何も見えていなかったらしい。健太と僕は顔を見合わせ、「もしかして……幽霊か?」と半ば冗談交じりに囁いたが、その冗談は笑い飛ばせるものではなかった。

それでも旅は続き、目的地に到着した僕たちは昼間から観光を楽しんだ。海辺を散策し、写真を撮り、くだらない話で盛り上がる。日が沈むころには、あの女性のことなどすっかり忘れていた。

夜、夕食を終えてから再び海辺に散歩へ出かけた。波の音が静かに響く砂浜に、月明かりが幻想的な光を投げかけていた。その美しい光景の中に、僕は再び彼女を見た。今度は4人全員がその場で凍りついた。

白いワンピースの女が、遠くの波打ち際に立っている。こちらに背を向け、ゆっくりと海を見つめている。さっきまで楽しんでいた僕たちの空気が一気に凍りついた。彼女の存在そのものが、明らかに「普通」ではないのだ。

「やばい、あれだ……昼間見たのと同じ女だ……」健太が震える声で言った。翔太と悠人も息を呑んでいる。誰もがその場で立ち尽くし、目を逸らすことができなかった。

すると、その女が、ゆっくりとこちらに向かって振り返ろうとし始めた。顔が見える直前で、突如として悠人が叫んだ。「見るな!逃げるぞ!」彼の声で僕たちははっと我に返り、無我夢中でその場から逃げ出した。

砂浜を全力で駆け抜け、ホテルへ戻るまでの時間が永遠に感じられた。誰も後ろを振り返ることなく、ただひたすらに走った。ホテルの部屋に戻っても、しばらくは息が整わず、全員が無言だった。

「あれ、幽霊だったんじゃないか……?」翔太がぼそりとつぶやいた。普段は冷静な彼が震えながら言うその言葉に、僕たちは無言で頷いた。

あれがただの人間だったのか、それともこの世のものではなかったのか。誰も確かめる術はない。ただ、あの瞬間に感じた異様さ――言葉では説明できないあの寒気と不気味さだけが、鮮明に僕たちの記憶に刻まれた。

その夜は結局、全員が一睡もできなかった。翌朝、僕たちは早々にその場所を後にし、帰路についた。もう一度あの海辺に行く勇気は、誰にもなかった。

「結局、あれは何だったんだろうな……」帰りの車内で健太が呟いたが、誰も答えなかった。ただ、心の中では全員が確信していた――あれは、この世のものではない。

僕たちの冬の旅は、あの白いワンピースの女の記憶と共に終わった。そして今でも、その記憶は僕たちの中に深く刻まれている。

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