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夜の海に現れた"見えない何か"――恐怖のビーチキャンプ 怖い話 奇妙な話 不思議な話

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友人の真司から「ビーチでキャンプしよう」という誘いが来たのは、夏休みも終わりに近づいた頃だった。メンバーは僕、真司、玲奈、そして裕也の4人。海辺でのバーベキューや夜の星空を楽しもうという計画で、みんなワクワクしていた。

キャンプ場に到着すると、まだ日が高く、僕たちはすぐにテントを張り、海で泳いだり、砂浜で遊んだりして楽しい時間を過ごした。夕方になり、夕陽を眺めながらバーベキューを楽しむ頃には、僕たちの心は完全にリラックスしていた。

その日の夜、星がきらめく空の下で波の音を聞きながら語り合っていると、真司が不意に言った。「夜の海って、なんか怖いよな。昼間はあんなに楽しいのに、夜になると雰囲気が全然違う。」

玲奈が軽く笑い飛ばすように、「何言ってんの、そんなの気のせいだよ」と返すが、僕も少し同意していた。確かに、夜の海は昼間とはまったく違う顔を見せる。暗闇の中で、波の音が妙に重く響くのだ。

その時、海の方からかすかな物音が聞こえた。僕たちは一瞬で静まり、耳を澄ました。波の音とは違う、何かが「ざり、ざり」と砂を引きずるような音だった。

「何だ?」と裕也が立ち上がり、懐中電灯を手に砂浜の方へ歩き出す。僕たちも彼の後を追った。砂浜に出ると、真っ暗な海が広がり、遠くに街の明かりがちらほら見えるだけ。海の方に目を凝らすと、波打ち際に何かが動いているように見えた。

「何かいる?」僕が裕也に尋ねると、彼は懐中電灯でその方向を照らした。だが、光が届く範囲には何もない。ただの静かな砂浜と波が見えるだけだった。しかし、確かに音はまだ続いていた。何かが砂の上を這うような不気味な音。

「やめようぜ、こんなの気味悪いよ」と玲奈が不安そうに言うが、真司は興味津々の様子で「ちょっと見てくる」と前へ進もうとした。だが、その瞬間、玲奈が叫んだ。「ダメ!来てる……!」

僕たちは一斉に玲奈の指さす方向を見たが、そこには何もない。ただ、冷たい風が強く吹き、波が激しく打ち寄せるだけだった。

「何が見えるんだ?」僕たちが訊くと、玲奈は青ざめた顔で「分からない……でも何かがこっちに近づいてる、感じるの……見えないけど、確実にいる……」と呟いた。

その言葉に、僕たち全員が凍りついた。玲奈はいつも明るくて冗談を言うタイプだが、今の彼女は本気で怯えている。

「戻ろう、テントに!」真司が急に大声を上げ、僕たちは慌てて砂浜を離れ、テントへ駆け戻った。振り返る勇気もなく、ただ必死に走った。

テントに戻った僕たちは、すぐにその場を離れることにした。急いで荷物をまとめ、車に乗り込んだが、玲奈はずっと無言で震えていた。車の中でようやく落ち着いた玲奈が、「あれ、何だったんだろう……見えないのに、確かに存在してた……」と小さな声で呟いた。

その夜、僕たちはキャンプ場を後にし、近くのホテルに避難した。誰も眠れず、ただ朝を待つだけだった。あの時、砂浜で聞こえた音や玲奈の感じた「見えない何か」は、僕たちにとって今も説明できない謎のままだ。

その後、僕たちは二度と夜の海には近づかなかった。あの静かな砂浜には、きっと「何か」が住んでいる――そう信じざるを得なかったのだ。

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