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双眼鏡の向こうに現れた"何か"――山奥でのキャンプの恐怖 怖い話 奇妙な話 不思議な話

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僕と友人の智也、翔太、そして圭太の4人は、夏の終わりに山奥でキャンプをすることになった。山登りが趣味の智也が見つけてきた、地元でもあまり知られていない静かなキャンプ場で、周囲には人の気配がほとんどない。自然に囲まれて夜の星空を楽しむには最適の場所だった。

夕方、僕たちはテントを張り、焚き火を囲みながらバーベキューを楽しんでいた。高い木々に囲まれ、空は徐々に夕焼けへと変わっていく。話題は自然と怪談や怖い話になり、みんなでひんやりとした空気を楽しんでいた。

そんな中、智也がバッグから双眼鏡を取り出した。「せっかくだから、遠くの景色を見てみようぜ」と、彼は楽しそうに双眼鏡を覗き始めた。

「おー、あそこに鹿がいる! すげぇ、遠くまで見えるな!」智也が興奮気味に言うので、僕も興味を持って双眼鏡を借りた。確かに、遠くの山の斜面に鹿の姿が見える。こんなにもはっきり見えるなんて、双眼鏡の威力に驚いた。

すると、その鹿の少し奥に、奇妙な影が見えた。最初は岩か何かだと思ったが、よく見るとそれは人の形をしていた。山の斜面にぽつんと立っている、白っぽい服を着た人物だ。だが、その場所は人が立つにはあまりにも不自然で、足場も悪そうな急な斜面だ。

「ねえ、あそこに人がいるみたいだけど、なんであんなところに……?」僕が言うと、他の3人も興味を持ち、双眼鏡を回しながらその方向を見始めた。

「ほんとだ、白い服の人がいる……でも変だな、あんな場所に立てるのか?」圭太が不思議そうに呟く。翔太は「ただの登山者とかじゃないの?」と軽く言ったが、どう見ても普通じゃない。動かず、ただじっと斜面に立っているその姿には、どこか異様なものを感じた。

そして、肉眼でその方向を見ても、遠すぎて何も見えない。ただ木々がざわめいているだけだ。僕たちは交代で双眼鏡を覗き、その人影を確かめ続けたが、誰もが口を揃えて「気味が悪い」と言った。

しばらくして、智也が双眼鏡を覗きながら「あれ、動いてる……こっちに近づいてるんじゃないか?」と言った。僕たちは一瞬凍りついた。確かに、双眼鏡で見るとその人影がゆっくりとこちらに向かって歩いてくるように見える。しかし、斜面は急で、まともに歩けるような場所ではないはずだ。

「やめろよ、怖いこと言うなよ」と翔太が冗談めかして言うが、その声には不安が滲んでいた。

僕も双眼鏡を覗いて確認したが、その人影は確かに徐々に近づいていた。顔は見えないが、長い髪が風になびいているのがわかる。その動きは、まるで滑るように足を使わずに進んでいるように見えた。

「おい、もう見ない方がいいんじゃないか?」圭太が声を震わせて言った。僕たちもすぐに双眼鏡を置き、誰もその人影を確かめようとはしなかった。肉眼では何も見えないのだから、見なければ気のせいだと思い込もうとしたのだ。

しかし、その夜、テントの中で寝ようとしても、誰も眠れなかった。風が木々を揺らす音が、異常に大きく感じられ、何かが近づいてくるような錯覚に囚われていた。

「ねえ、あれ、ほんとに人だったのかな……?」智也が誰にともなく呟いた。その問いに誰も答えられなかった。ただ、みんなが頭の中で同じ疑問を抱えていた。

翌朝、僕たちは早々にキャンプを切り上げ、山を下りた。もう二度とあの場所には戻りたくない――全員がそう思っていた。結局、あの「人影」が何だったのか、確認する勇気もなければ、確かめる術もない。ただ、双眼鏡でしか見えなかったあの姿が、頭から離れないままだ。

あの山の奥には、きっと見えない「何か」が住んでいるのだろう。それは、僕たちの知らない世界に潜む存在で、僕たちはそれを覗いてしまったのかもしれない。

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