ある夜、主人公の「私」はいつものようにお気に入りの怪談投稿サイトを閲覧していた。そのサイトは、ユーザーが自分の体験や創作の怪談を自由に投稿できる場所で、毎晩のように新しい投稿が続いていた。
その中でも特に人気を集めていたのが、ハンドルネーム「Yさん」の百物語だ。Yさんは毎晩一話ずつ、リアルな恐怖体験を投稿しており、その臨場感やディテールの生々しさから、まるで本当に起こったことのように感じられると評判だった。
Yさんの百物語は、都市伝説や心霊体験のような話が多いが、特に特徴的なのは「読むことで呪いが伝播する」というテーマだった。コメント欄では、「読んだ後に奇妙な出来事が起こった」「夜中に人の気配を感じるようになった」といった体験談が次々と寄せられ、次第にその話題はサイト全体で広がっていった。
ある日、「私」はYさんの百物語の第九十九話を読んだ。その話は、無名のネット掲示板に書き込まれた呪いの文章を巡るもので、その文章を読み終えると、必ず背後に「何か」が現れるというものだった。「私」は興味半分、怖さ半分で読み進めたが、特に何も起こらなかったため、安心してその日は就寝した。
だが、夜中にふと目が覚めたとき、違和感を感じた。部屋の隅に、暗がりの中でも異様に黒い「何か」が佇んでいる気がした。慌てて照明を点けると、その気配は消えたが、背筋に冷たい汗が流れた。
翌日、サイトのコメント欄には同じような体験談が増えていた。Yさんの話を読んで以降、部屋の中で異様な気配を感じる、視界の端に不気味な影が見えるといった報告が後を絶たない。そして、Yさんはついに第百話を投稿した。その話は、次のような内容だった。
「この百物語を読み終えた者には、必ず呪いが降りかかる。呪いから逃れる方法は一つ――この話を誰かに話すか、投稿すること。そうしなければ、『それ』があなたのもとにやってくる。」
その投稿がアップされた直後、サイトには異変が起こり始めた。まず、Yさんのアカウントが突然削除されたのだ。それだけでなく、過去に投稿された百物語の全てが消失し、コメント欄に書かれたユーザーの体験談も次々に消えていった。まるで、初めから存在しなかったかのように。
不安に駆られた「私」は、他のユーザーたちと連絡を取り合い、Yさんの正体やその話の真相を探ろうとした。しかし、調べれば調べるほど不可解な出来事が続いた。話を共有したユーザーの一人が突然連絡を絶ち、別のユーザーは「自宅の中に誰かがいる」と怯えたメッセージを残した後、音信不通になった。
ある日、サイトの掲示板にYさんと名乗る新しいユーザーが現れた。彼は、「呪いを解く方法はもう無い。私たちは『それ』に見つかった」とだけ書き込み、再び姿を消した。その瞬間、部屋の電気が突然切れ、画面に黒い影が一瞬映り込んだ。「私」はパソコンの電源を慌てて落とし、震えながら寝室に逃げ込んだが、あの暗がりの「何か」が確実に近づいてきている感覚が消えない。
その晩、うっすらと眠りに落ちた「私」は、耳元で誰かが囁く声を聞いた。それは低く、くぐもった声で、「次は、お前だ」と確かに言った。
翌朝、パソコンを確認すると、Yさんの投稿が再び復元されていたが、他のユーザーたちの反応は全く無かった。まるで呪いを恐れて、誰も触れようとしていないようだ。「私」は、他に何もできずに、その話をここに投稿し、次の犠牲者が現れることを祈るしかない。
読者の皆さん、もしこの記事を最後まで読んでしまったのなら、気をつけて欲しい。もしかすると、あなたの背後にも「何か」がいるかもしれない。
最後に
現代のネット社会に潜む怪異は、単なるフィクションか、それとも現実の呪いなのか。この話を読むことであなたの周りにも何かが起こるかもしれません――。
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