怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

夜中に響く子供の笑い声 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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佐々木裕一は、妻と娘の3人で新しい家に引っ越してきました。この家は裕一がずっと憧れていた古風な一軒家で、特に広い庭と緑に囲まれた落ち着いた環境が気に入っていました。家の内装もアンティーク調で統一されており、どこか時代を感じさせる落ち着いた雰囲気が漂っていました。

引っ越しから数日が経ち、家族は新しい生活に慣れてきました。しかし、裕一は夜になると不気味な気配を感じるようになりました。特に深夜、家が静まり返った時間帯になると、「子供の笑い声」が聞こえてくるのです。

最初は、近所の子供が何かの悪戯をしているのだろうと思い、気に留めませんでした。しかし、その笑い声は決まって深夜にしか聞こえず、まるで家の中から響いているようでした。裕一は妻にそのことを話しましたが、妻は「疲れているだけよ」と笑い飛ばし、娘もその声を聞いていないと言います。

しかし、笑い声は日に日に明確になり、その回数も増えていきました。そして、どうやら屋根裏部屋から聞こえてくるようなのです。裕一は次第に不安を覚え、ある晩、意を決してその音の正体を突き止めることにしました。真夜中、妻と娘が眠りについた後、裕一は一人で懐中電灯を持ち、屋根裏部屋への梯子を登り始めました。

扉を開けると、冷たい空気が流れ込んできました。屋根裏部屋は古びた木材の匂いが充満しており、薄暗い中で古い家具や箱が散乱していました。裕一は静かに部屋を照らしながら、慎重に中を探索しました。しかし、誰もいませんでした。ただ、風が吹き込む音と、どこか遠くから響くような微かな笑い声が耳に残ります。

不安が募る中、裕一は屋根裏部屋を後にしました。しかし、その晩以降、家の中では奇妙な現象が起こり始めました。まず、娘のお気に入りの人形が、毎朝異なる場所で見つかるようになりました。最初は娘が遊びながら置き忘れたのかと思いましたが、娘は「自分じゃない」と首を振ります。さらに、妻は夜中に不気味な影が寝室の外を横切るのを見たと言い始めました。

そして、最も恐ろしいことに、娘が「夜になると遊ぼうって言われるの」と話し始めました。裕一はその言葉に背筋が凍りつく思いをしました。娘が言うには、夜中になると屋根裏から「一緒に遊ぼう」と誘われるのだと言います。そして、それは決まって笑い声とともに聞こえてくるのです。

裕一はこのままではいけないと思い、再び屋根裏部屋に向かう決心をしました。再度、夜中に、娘と妻が眠りについた後、一人で屋根裏部屋へと向かいました。梯子を登り、扉を開けた瞬間、寒気が全身を包み込みました。部屋の中は異様なほど静かで、何かが息を潜めているような緊張感が漂っています。

懐中電灯の光を壁に向けると、そこには古びた絵が掛かっていました。それは、昔の家族が描かれた絵のようでした。絵には両親とその後ろに立つ3人の子供が描かれているはずですが、その子供たちは顔が消されているかのように見えます。何か不吉なものを感じた裕一は、すぐに部屋を出ようとしました。

しかし、その瞬間、背後から「一緒に遊ぼう」という囁き声が聞こえてきました。裕一は振り返ると、そこには今まで見たことのないほど恐ろしいものが立っていました。それは、顔が歪んだ子供の霊でした。目がくぼみ、口元は笑っているように見えますが、そこに温かみはなく、ただただ冷たい恐怖を感じさせるものでした。子供の霊は、手を差し伸べ、再び「遊ぼう」と囁きます。

裕一はその場から逃げ出し、梯子を駆け下りました。恐怖で足が震え、何度も転びそうになりながらも、家族のいる寝室に飛び込みました。妻と娘を起こし、すぐに家を出るよう促しました。二人は何が起こったのかわからないまま、裕一の必死な様子に従いました。

その夜、家族は車で逃げ出し、近くのホテルに避難しました。翌朝、家に戻ると、家は異常なくらい静まり返っていました。裕一は決して再び屋根裏部屋に入ることはなく、その家を手放す決意をしました。

あの笑い声はなんだったのか、かつてこの家で遊んでいた子供の霊が発していたものだったのか。真相はわかりませんが、あの子は、今も、屋根裏で「遊び相手」を探しているのかもしれません…。

裕一は二度とその家に戻ることはありませんでしたが、今も時折、夜になるとあの子供の笑い声が耳に残ることがあります。それは、彼らが今もどこかで「一緒に遊ぼう」と囁いている証拠なのかもしれません…。



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