怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

夜の公園に響く囁き――立ち入ってはならない恐怖の空間 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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私は、地元にある小さな公園に、夜の散歩がてら足を運ぶことが多かった。昼間は子供たちが遊ぶ賑やかな場所だが、夜になるとひっそりと静まり返り、心を落ち着けるにはちょうどいい場所だった。その日も、日中の仕事で疲れた頭をリフレッシュさせようと、夜の公園を一人で歩いていた。

公園は住宅街の外れにあり、夜になるとほとんど人影が消える。街灯の淡い光がポツポツと点在し、木々の間を風が通り抜ける音だけが響いていた。私はその静寂さが好きで、時折ベンチに座りながら何も考えずに過ごすのが習慣になっていた。

その夜も、いつものように公園に足を運び、ベンチに腰掛けた。木々の隙間からはかすかに月明かりが差し込み、幻想的な雰囲気を醸し出していた。心地よい風が頬を撫で、私はしばらくの間、ただその場に座っていた。

しばらくすると、遠くから微かに人の声が聞こえてくるのに気づいた。子供たちが夜遅くまで遊んでいるのか、それとも近くにいる誰かの話し声かと思い、特に気に留めることはなかった。だが、その声が次第に近づいてくるのが分かり、私は徐々に不安を感じ始めた。

声は、まるで囁くように低く、何を言っているのかはっきりと聞き取れなかったが、その不気味さが私の心にじわじわと浸透してきた。誰かが近づいているのかと思い、周りを見渡したが、暗闇の中に動く影は見当たらなかった。

それでも、声は確かに聞こえていた。まるで風に乗って運ばれてくるかのように、微かに響いていた。私は恐怖を感じながらも、立ち去るタイミングを見失い、ただその場に座り続けていた。心のどこかで、ただの勘違いだろうと思いたかったのかもしれない。

その時、突然ベンチの後ろから「ガサガサ」という音が聞こえた。私は驚いて振り返ったが、そこには何もなかった。ただ、茂みが風で揺れているだけだった。だが、その瞬間、背筋に冷たいものが走った。囁き声が、まるで私の耳元で直接囁かれているように、はっきりと聞こえたのだ。

「帰れ…」

その言葉が耳に届いた瞬間、私は凍りついた。頭の中で警報が鳴り響くように、ここにいてはいけないという感覚が湧き上がった。何かが私をここから追い出そうとしている。それが人であるのか、それとも何か別のものなのか分からなかったが、私は立ち上がると同時に全速力で公園の出口に向かって走り出した。

足音が後ろから追いかけてくるような気がして、振り返る勇気もなく、ただひたすら走り続けた。公園の出口にたどり着いたとき、ようやく私は立ち止まり、振り返ってみた。そこには誰もいなかった。公園は静寂に包まれ、先ほどの出来事が嘘のように感じられた。

息を整えながらも、私は恐怖と不安でいっぱいだった。あの声が現実のものだったのか、それとも私の疲れた頭が生み出した幻覚だったのか、今でも分からない。ただ、一つだけ確かなことは、あの公園には何か得体の知れない存在が潜んでいるということだった。

その後、私は夜の公園を避けるようになった。昼間には何も異常は感じなかったが、夜になると、あの囁き声が再び聞こえてくるのではないかという恐怖が消えなかった。友人に話しても笑い飛ばされるだけで、誰も私の話を真剣に聞いてくれる人はいなかった。

あの夜以来、私は夜の散歩をしなくなった。特に公園には二度と近づかないようにしている。今でも、時折夜になると、あの囁き声が思い出され、背筋が寒くなることがある。あの声は一体何だったのか、そしてなぜ私に「帰れ」と言ったのか、答えは分からないままだ。

ただ、あの公園には、何か見えない存在がいるということを、私は忘れることができない。



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