その日、私はいつものように近所の公園へ足を運んだ。週末の午後、暖かい陽射しが降り注ぐ中で、心地よい風が吹いていた。ここは、私にとって心を落ち着ける場所だった。木々が茂り、緑が豊かなこの公園には、普段から多くの人々が訪れる。今日も、公園は賑わっていた。
私はお気に入りのベンチに腰掛け、深く息を吸い込んだ。周囲では、子供たちが元気よく走り回り、親子連れが楽しそうに笑い声を上げている。少し離れた場所では、工事現場の作業員たちが休憩をしており、缶コーヒーを片手に談笑していた。私もそんな喧騒の中で、ただ静かにその場の空気を感じながらリラックスしていた。
目を閉じ、周りの音に耳を澄ませていると、心地よい疲労感が全身を包んでいく。子供たちのはしゃぐ声、親たちの会話、遠くから聞こえる交通の音…すべてが混ざり合って、心を落ち着かせる一つの音の流れを作り出していた。
しかし、ふとその音が途切れた気がした。最初は気のせいかと思ったが、耳に入ってくる音が少なくなったように感じたのだ。私はゆっくりと目を開け、周囲を見渡した。何かが違う。先ほどまで賑わっていた公園が、妙に静かになっているのだ。
「どうしたんだろう…」
私は周りをよく見てみた。確かに、子供たちが遊んでいる姿はまだ見える。親たちもまだそこにいる。しかし、全体的に人数が減っているような気がしてならなかった。特に、工事現場の作業員たちがいた場所を見たとき、私は違和感を覚えた。数分前まで確かにいたはずの彼らが、いつの間にか消えていたのだ。
「見間違いか…?」
私は目をこすり、もう一度その場所を確認した。しかし、そこには誰もいない。奇妙な不安が胸を締め付ける。工事現場の人たちがいなくなったことに気づいたのは私だけなのか?周りを見渡すが、他の人たちは特に変わった様子もなく、いつも通りに過ごしている。
その時、また一組の親子がふっと消えた。まるで幻のように、そこにいたはずの親子が突然姿を消したのだ。私は思わず立ち上がり、辺りを見回した。しかし、誰もそのことを気にしている様子はない。残された子供たちも、楽しそうに遊び続けている。
「何が起きているんだ…?」
私は恐怖に駆られながら、必死に周囲を観察した。公園の人々が一人、また一人と、まるで影が薄れるように消えていく。そして、それに気づいているのは私だけのようだった。焦燥感が胸を打ち、私は何度もまばたきをしながら、現実であることを確認しようとした。
だが、次々と人が消えていく現象は止まらなかった。親子連れが、遊んでいた子供たちが、ベンチで休んでいた人々が、一瞬で姿を消していく。まるでその場にいなかったかのように。
「次は…私の番なのか?」
その考えが頭をよぎった瞬間、私は恐怖に押しつぶされそうになった。周りの景色が歪んで見え、全身が冷たくなっていくのを感じた。もう誰も残っていない。公園には私一人だけが取り残されていた。足が震え、動けなくなり、私はその場に立ち尽くしていた。
「消えたくない…」
そう思った私は、目をぎゅっとつむり、消えてしまう恐怖から逃れようとした。目を閉じたまま、耳を塞ぎ、ただじっとその場に立っていた。周囲の音が再び消えていくのを感じた。
しかし、しばらくしてから、遠くからかすかに子供たちの笑い声が聞こえてきた。私は恐る恐る目を開けた。すると、さっきまでの静寂は嘘のように、公園には再び人々の賑わいが戻っていた。親子連れが笑い合い、子供たちが走り回り、工事現場の人たちも元の場所で休憩していた。すべてが元通りだった。
「夢だったのか…?」
私は自分にそう言い聞かせるように、何度も周りを確認した。公園は何事もなかったかのように、平穏な時間が流れていた。昼寝でもして、寝ぼけたのかもしれない。そう思うことで、あの恐怖を忘れようとした。
しかし、あの時の恐怖と不安が心の中に深く残っているのを感じた。あの日の体験が妙にリアルで、私の心に深く刻まれてしまったことだ。あれは本当に夢だったのかと思ったりますが、、いまでもあれは夢だったんだ、悪夢だったんだと自分に言い聞かせている。
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