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仲間に忍び寄る呪い――こっくりさんが告げた名指しの恐怖 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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中学生の頃、私は仲の良い友達といつも放課後に集まっていた。私たちは、少し背伸びをしてオカルトや都市伝説に夢中になっていた。そんな中、誰からともなく「こっくりさんをやってみよう」という話が持ち上がった。興味本位で怖い話を楽しんでいた私たちは、こっくりさんもただの遊びの一環だと軽く考えていた。

その日、放課後の教室に5人の仲間が集まった。私を含め、リーダー格のケンタ、明るくて元気なユウタ、少し内気なアヤ、そしておとなしいミホ。誰もが笑いながら、でもどこかにわずかな不安を抱きつつ、机の上に紙と10円玉を置いた。

「本当にやるの?」とアヤが不安そうに言ったが、ケンタが冗談めかして「大丈夫だって、ただの遊びだろ」と言い、全員が笑いながらそれに同意した。私たちは10円玉に指を置き、深呼吸をしてから儀式を始めた。

「こっくりさん、こっくりさん、いらっしゃいますか?」

教室の中は静まり返り、私たちの声だけが響いた。しばらくして、10円玉がゆっくりと動き始めた。全員が驚きつつも、好奇心に駆られてさらに質問を続けた。

「こっくりさん、私たちに何か言いたいことがありますか?」

10円玉は「はい」に動き、次に何かを伝えたいかのように五十音の上を滑り始めた。私たちはそれをじっと見つめ、緊張感が高まっていった。

「の」「ろ」「い」

「呪い…?」

その言葉が出た瞬間、教室の空気が一変した。誰もが背筋に冷たいものを感じ、笑い声は消えていた。こっくりさんが「呪い」について語り始めるなど、全く予想していなかったのだ。ケンタは少し強がって「呪いなんて信じないよ」と言ったが、彼の声は震えていた。

「誰を呪うの?」とユウタが冗談半分で聞いたが、誰も笑わなかった。すると、10円玉が再び動き始めた。その動きは速く、次第に私たち全員の不安が大きくなっていった。

「み」「ほ」

「ミホ…?」

私たちは一瞬、言葉を失った。10円玉がミホの名前を指したのだ。ミホは驚きと恐怖で顔を青ざめさせ、震える手で10円玉から指を離した。

「やめよう、こんなの…」

アヤが涙ぐんだ声で言った。全員が同意し、すぐにこっくりさんを終わらせることにした。

「こっくりさん、こっくりさん、お帰りください。」

私たちは必死にそう唱え、10円玉が「鳥居」に止まるのを見届けた。しかし、その場の空気は重く、誰もが不安を抱えたまま家に帰った。

それから数日、私たちはこっくりさんのことをできるだけ忘れようと努めた。しかし、ミホの様子が次第におかしくなっていった。最初は授業中にぼんやりすることが多くなり、次第に話すことが減り、笑顔が消えていった。元々おとなしい性格だったが、今ではまるで別人のように元気がなく、常に何かに怯えているようだった。

心配になった私たちは、放課後にミホを囲んで話をしようとしたが、彼女は何も答えなかった。ただ、目を伏せたまま「私…おかしくなっていくのがわかるの…」とつぶやいた。その言葉を聞いた瞬間、私たちは一気に恐怖が押し寄せてきた。

「こっくりさんのせいなの…?」

誰もがその可能性を口にするのを恐れていたが、全員がそれを感じていた。あの日、こっくりさんが「ミホを呪う」と言ったことが現実になりつつあるのではないかと。

ミホの状態はさらに悪化していった。彼女は学校を休みがちになり、登校してきても誰とも話さなくなった。授業中も無気力に過ごし、何かに怯えるように教室の隅で震えていた。そしてある日、ミホはついに学校に来なくなった。

先生から聞いた話によると、ミホは精神的に不安定な状態になり、入院することになったという。私たちは言葉を失い、ただ呆然とするしかなかった。

「私たちが、ミホを…」

罪悪感と恐怖が心に重くのしかかり、誰もがその責任を感じていた。あの時、こっくりさんをしていなければ、ミホはこんなことにならなかったのではないかと、何度も考えた。

ミホが入院してからしばらくの間、彼女の家族とも連絡が取れず、彼女の状態がどうなっているのか分からなかった。教室はいつもより静かで、ミホの不在が私たちに重くのしかかっていた。

ある日、私は他のメンバーと一緒にミホのお見舞いに行くことを決心した。しかし、病院に着いた時、ミホの家族から「面会はできない」と言われた。ミホはますます状態が悪化しており、面会は許されていないとのことだった。その知らせを聞いた私たちは、再び深い絶望感に襲われた。

それからしばらくして、ミホは病院を転院することになり、私たちとの連絡は完全に途絶えた。彼女がその後どうなったのか、誰も知らなかった。ただ、あの日、こっくりさんが告げた「呪い」という言葉が現実となり、私たちの仲間を奪ってしまったのだ。

あれから何年も経ったが、ミホのことを考えるたびに、あの時の恐怖が蘇る。こっくりさんが告げた言葉が現実になり、仲間を失ってしまったことが、今でも私たちの心に深く刻まれている。もし、あの日こっくりさんをしなければ、ミホは普通の生活を送っていたのだろうか。

現実と呪いが交差したあの夜の出来事は、私たちに二度と忘れることのできない傷を残した。



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