怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

こっくりさんの約束 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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私たちが「こっくりさん」をしたのは、放課後の静かな教室だった。参加したのは私とアヤ、タクミの3人。オカルト好きなアヤが、どうしても試してみたいと言い出したのがきっかけだった。

「怖いけど…まあ、やってみようか」と、私たちは少しの不安を抱えながらも、教室の片隅に集まった。紙に「はい」「いいえ」「鳥居」と五十音を書き、10円玉を中央に置いて、みんなで指をのせた。

「こっくりさん、こっくりさん、いらっしゃいますか?」

タクミが問いかけると、教室の中は静まり返った。最初は何も起こらず、私たちは互いに顔を見合わせたが、次の瞬間、10円玉がゆっくりと動き始めた。全員が息を飲んで、その動きを見つめた。

「本当に動いた…」アヤが驚いた声を上げた。10円玉は「はい」に止まり、私たちは緊張しながら質問を続けた。

「こっくりさん、私たちに何か言いたいことがありますか?」

10円玉はすぐに動き、次々と文字を指し示していく。それは「ち」「が」「う」「か」「え」という言葉だった。

「違う…返?」

私たちは意味がよく分からず、困惑した。タクミが「こっくりさん、それってどういう意味?」と尋ねたが、10円玉は動かなかった。私たちはさらに質問をしようとしたが、急に教室の電気が消え、真っ暗になった。驚いて声を上げそうになったが、すぐに電気が点いた。

「今の…何?」アヤが不安そうに言った。私たちはもうこれ以上続けるのはやめようと決め、「こっくりさん、こっくりさん、お帰りください」と唱えた。10円玉が「鳥居」に戻るのを確認し、ほっとした私たちは、道具を片付けて帰宅した。

しかし、その夜、私は奇妙な夢を見た。夢の中で、私はこっくりさんと話していた。こっくりさんは私に「約束を守らなければならない」と繰り返し言っていた。目が覚めた時、その言葉が頭から離れなかった。

翌日、学校に行くと、アヤとタクミも同じ夢を見たと言った。私たちは不安に駆られ、もう一度こっくりさんをしなければならないのではないかと話し合ったが、誰もその勇気を持っていなかった。

その後も、「約束」という言葉が頭から離れず、何かに取り憑かれたような気分で過ごしていた。
最終的に、私たちはこっくりさんに再び謝り、しっかりとお帰りいただくことで、ようやくその不気味な気配は消えた。しかし、あの日のこっくりさんが「約束」と言った意味は、今でも私たちの心に残り続けている。



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