放課後、私たちは教室に残って「こっくりさん」を試してみることにした。参加したのは、私とアキ、マサト、サキの4人。こっくりさんが学校中で流行っていて、好奇心に駆られて私たちもやってみようということになった。
紙に「はい」「いいえ」「鳥居」と五十音を書き、10円玉を中央に置いた。私たちは少し緊張しながらも、全員が10円玉に指を乗せた。
「こっくりさん、こっくりさん、いらっしゃいますか?」
サキが声をかけると、教室は一瞬、しんと静まり返った。窓の外からは風の音がかすかに聞こえるだけで、誰もが10円玉が動くのをじっと見つめていた。しばらくして、10円玉がゆっくりと動き始めた。
「動いた!」とアキが小さな声で言った。10円玉は「はい」に止まり、私たちは少し興奮しながら質問を続けた。
「こっくりさん、ここにいるんですか?」とマサトが尋ねると、10円玉は再び「はい」に動いた。私たちは顔を見合わせ、次に何を聞くべきかを考えた。
その時だった。突然、教室の窓がガタガタと激しく揺れ始めた。全員が驚いて顔を上げたが、窓はしっかりと閉まっており、外の風はそれほど強くない。それなのに、まるで強風が吹きつけているかのように窓が鳴り続けていた。
「何これ…?」とサキが不安げに言った。
次の瞬間、窓から吹き込むような強い風が教室の中を駆け抜けた。紙がめくれ上がり、教室内のカーテンが大きく揺れた。私たちは全員、強風に煽られるようにして身を縮め、10円玉から手を離してしまった。
「風、どこから?」アキが驚いて声を上げた。教室の中を見回したが、窓は閉まっているし、ドアも開いていない。それなのに、風が私たちの周りを吹き抜けていく。
「やばい、やばい、やめよう!」マサトが慌てて言い出し、私たちは全員がそれに同意した。
「こっくりさん、こっくりさん、お帰りください!」
私たちは慌てて声を揃えて唱え、10円玉が「鳥居」に戻るのを確認した。すると、風はピタリと止み、教室は再び静寂に包まれた。
「何だったの、今の…?」サキが息を整えながら言ったが、誰も答えられなかった。全員が恐怖で言葉を失い、ただその場に立ち尽くすしかなかった。
私たちはその後、急いで道具を片付け、教室を飛び出した。外に出た時の冷たい空気が、現実に戻ったように感じさせてくれたが、あの風が何だったのか、誰も説明できなかった。
次の日、私たちは再びこっくりさんをやることはなかった。あの日の出来事が現実なのか、ただの偶然だったのかは分からない。ただ一つ言えるのは、こっくりさんが何かを呼び寄せたのだということだ。あの風が教室を吹き抜けた瞬間、何かが私たちを見ていたのではないかという恐怖が、今でも心の中に残っている。
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