私はかつて、理科の教師をしていた頃、深夜に学校で体験した不気味な出来事を今でも忘れられません。それは、誰にも話すことのできなかった奇妙な体験で、今でも背筋が寒くなる思い出です。
ある期末テスト前の夜、理科の実験器具の準備が必要だったため、私は職員室に残っていた。翌日の授業で使う器具を整えておくため、理科準備室へと足を運んだ。時間はすでに夜の11時を回っていて、校舎は静まり返り、廊下には自分の足音だけが響いていた。
理科準備室は理科室の隣にあり、普段は生徒が入ることのない場所です。夜遅くになると、特に薄暗く、冷たい空気が漂っていました。私は少しだけ不安を感じながらも、明日の準備を優先し、器具を揃えていた。
準備室の中で必要な器具を探していると、突然、背後で物音がした。振り返ると、誰もいないはずの理科室のドアがわずかに開いていた。私は誰かが入り込んだのではないかと思い、ドアを開けて理科室を覗いてみたが、そこには誰もいなかった。
「気のせいか…」そう思って再び準備室に戻ったが、次の瞬間、再び物音が聞こえた。今度は、理科準備室の棚に置かれていたフラスコが一つ、床に落ちて割れていた。
「どうして…?」私は驚いて割れたガラスを片付けようとしたが、その時、ふと気づいた。理科準備室の奥にある窓が、わずかに開いていることに。私は風が入ってきたのかもしれないと思い、窓を閉めようと近づいた。
しかし、窓際に差し掛かった時、突然強烈な寒気が体を襲った。まるで冷たい手が背中に触れたかのような感覚だった。私は瞬間的に窓の外を見たが、真っ暗な校庭が広がっているだけだった。
その時、ふと視線を感じて、窓の外から目を戻すと、準備室の奥にある鏡に自分の姿が映っているのが見えた。だが、そこには私だけではなく、もう一つの影が映っていたのだ。
その影は、明らかに誰かが後ろに立っているかのように見えた。私は恐怖でその場から動けなくなり、鏡に映る影をじっと見つめた。次の瞬間、その影がゆっくりと動き出し、私のすぐ後ろに近づいてくるのが見えた。
「やばい…!」
私は反射的に振り返ったが、そこには誰もいなかった。しかし、振り返った瞬間、耳元でかすかな囁き声が聞こえた。
「助けて…」
私は恐怖で震えが止まらず、器具の準備どころではなくなった。急いで準備室の電気を消し、職員室へと戻ろうとしたが、その途中で足が動かなくなり、ただその場で立ち尽くしてしまった。
そして、再び準備室を振り返ると、窓の外に何かが見えた。それは、白い服を着た女性のような影で、私の方をじっと見つめているように感じた。私は恐怖で視線を外すことができず、ただその影が消えるのを待つしかなかった。
ようやく影が消えた時、私はすぐに準備室を後にし、職員室に戻って荷物をまとめ、学校を飛び出した。家に帰ってからも、あの影の正体や耳元で聞こえた囁き声が頭から離れず、しばらくの間、夜遅くまで学校に残ることが怖くなった。
翌日、学校でその話を同僚にすると、ある年配の先生が私にこう言った。「ほんとかうそか、その準備室には、昔亡くなった実験助手の霊がいるって噂があるんだ。あまり深入りしない方がいい」と。
それ以来、私は夜遅くに準備室に入ることを避け、どうしても必要な時は昼間に済ませるようにした。あの時見た影や聞こえた声が何だったのか、今でも分からないままだが、もう二度とあんな恐怖を味わいたくないと思っている。
学校には、普段見えないものが潜んでいることがある。特に夜になると、そうした存在が姿を現すことがあるのかもしれない。私はその事実を、身をもって知ることになったのだった。
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