私が中学校で教師をしていた頃、ある不思議な出来事を体験したことがあります。これは怖い話ではないのですが、今でもその時のことを考えると、まるで夢だったかのような感覚になります。
その日は、授業準備のために朝早く学校に来ていました。まだ生徒たちは登校しておらず、校舎内は静まり返っていました。私は黒板に今日の授業内容を書くため、職員室からチョークを持って教室に向かいました。
教室に着くと、黒板の前に立ち、持っていたチョークで文字を書き始めました。最初は順調に進んでいたのですが、途中でチョークが突然折れてしまいました。よくあることなので、特に気にせず、ポケットから予備のチョークを取り出そうとしましたが、ポケットには何も入っていませんでした。
「あれ?予備のチョーク、持ってくるのを忘れたかな…」
そう思い、教室のチョークホルダーを確認しましたが、そこにもチョークはありませんでした。仕方なく、もう一度職員室に戻ってチョークを取りに行こうとしたその時、突然、教室の後ろの方から小さな音が聞こえました。
「コトン…」
振り返ると、教室の後ろにある机の上に、白いチョークが一本置かれているのが見えました。
チョークを手に取ると、それは真新しく、まるで今置かれたばかりのように感じました。誰かが置いていったのだろうかと思いながらも、私はそのチョークを使って授業の準備を再開しました。
授業が始まり、朝のホームルームが終わった後、私はふと気になって、もう一度職員室のチョークホルダーを確認してみました。そこには、私が朝準備したチョークが何本も並んでいました。やはり、私が予備のチョークを持ってくるのを忘れていたわけではなかったようです。
「なぜさきほどはチョークがなくなっていたのだろう…?」
それから数日間、私は何度かそのチョークについて考えましたが、特に怪しいことは起こらず、何事もなく日々が過ぎていきました。しかし、そのチョークが気になり、同僚に話をしてみることにしました。
「ねえ、この前、教室で不思議なことがあったんだけど…」
私はその出来事を同僚に話しました。すると、先輩の先生が微笑みながら言いました。「実は、あの教室には昔から『チョークが勝手に消えたり、現れる』っていう噂があるんだよ。」
「えっ、本当ですか?」
「うん、私も昔、同じような体験をしたことがあるんだ。その時もチョークがないと思ったら、いつの間にか机の上に置かれていたんだよ。でも、別に悪いことが起こるわけでもないし、不思議なことだけど、みんなあまり気にしていないんだ。」
先輩の話を聞いて、私はさらに驚きました。どうやら、私が体験したことはこの学校ではよくある「不思議な出来事」の一つだったようです。
それ以来、私はあの教室でチョークが足りなくなっても、自然に補充されることがあるかもしれないと考えるようになりました。不思議なことに、その後もたまにチョークが教室の机の上に現れることがありましたが、特に怖い思いをすることはありませんでした。
ただ、あのチョークがどこから来たのか、そしてなぜあの教室だけでそんな現象が起こるのか、今でも謎のままです。学校には、説明のつかない不思議な力が働いているのかもしれません。そして、その力がほんの少しだけ、私たちの生活に関わっているのかもしれないと感じました。
この話は怖さはほとんどありませんが、学校という場所には時折、不思議な出来事が起こるものだと教えてくれる体験でした。
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