私は中学校で歴史を教えていた頃、学校の古文書室を担当することになりました。この学校には長い歴史があり、古文書室には過去の記録や書物が大切に保管されていました。私はその整理を任され、新しい資料の整理や目録の作成をしていました。
ある日、私は古文書室の片隅で埃をかぶった古い箱を見つけました。箱の中には、古びた書物やノートが詰まっていました。その中に、特に目を引く一冊の奇妙な日記がありました。表紙には何も書かれておらず、ただぼろぼろになった革で覆われていました。
「これは一体…?」
興味をそそられた私は、その日記を手に取り、慎重にページをめくりました。中には、過去の生徒たちが記したと思われる体験談がいくつも書かれていました。ページは古く黄ばんでおり、文字はかすれかかっていましたが、その内容は非常に鮮明で、何か不気味な力が宿っているかのようでした。
最初のページ:夜の廊下に立つ影
「この話は、私がまだ小学6年生だった頃のことです。学校の掃除当番で、友達と一緒に教室を掃除していました。その日、掃除が終わってから私は友達を待つために廊下に立っていました。夕暮れが差し込み、廊下は薄暗く、どこか寂しい感じがしました。
その時、廊下の向こう側に誰かが立っているのを見ました。最初は友達だと思い、声をかけようとしましたが、その影がまったく動かないことに気づきました。私は不安になり、もう一度よく見ると、それは人間の形をしているけれども、顔が見えない影のような存在だったのです。
恐怖で動けなくなった私は、じっとその影を見つめていました。影はじっと私を見つめ返しているように感じ、次第に近づいてくる気配がしました。私は慌てて教室に戻り、友達と一緒に学校を後にしました。
それ以来、私は廊下であの影を二度と見ることはありませんでしたが、今でも時々、夢に出てくることがあります。あれは一体何だったのか、今でもわかりません。」
次のページ:音楽室から聞こえる声
「ある日、私は放課後に音楽室でピアノの練習をしていました。誰もいないはずの音楽室で、私は集中してピアノを弾いていました。すると、突然、後ろからかすかな声が聞こえてきたのです。
『もっとゆっくり…』
誰もいないはずの音楽室で、確かに誰かがそう囁いたのです。私は驚いて後ろを振り返りましたが、そこには誰もいませんでした。あまりにも気味が悪くなり、私はピアノの練習を切り上げて、すぐに音楽室を出ました。
次の日、友達にその話をすると、『その声を聞いたら二度とピアノを弾けなくなる』という噂を耳にしました。それ以来、私は音楽室で一人で練習することが怖くなり、誰かと一緒でなければピアノを弾けなくなってしまいました。」
さらに次のページ:図書室の消えた本
「私が中学1年生の時、学校の図書室で奇妙な体験をしました。図書室は古くて、本の匂いが充満している場所でした。ある日、私はいつもと同じように図書室で本を借りようとしたのですが、目当ての本が見つからなかったのです。
その本は、前の日に友達から『面白いから読んでみて』と勧められた本で、確かに図書室にあるはずでした。しかし、どこを探しても見つからず、仕方なく他の本を借りることにしました。
翌日、図書室に行くと、あの本が机の上にぽつんと置かれていました。まるで誰かが急いで返したかのように。しかし、司書の先生に尋ねると、『昨日も今日もその本は借り出されていなかった』というのです。
私は気味が悪くなり、その本には手を出さないことにしました。それ以来、図書室で本を借りるとき、どこかで誰かが見ているような気がして、いつも急いで借りるようになりました。」
次のページ:未来を知る手紙
「中学2年生の時、私はある不思議な手紙を受け取りました。その手紙は、私の机の中にいつの間にか入っていたもので、差出人も書かれていませんでした。手紙の内容は『明日、学校で起こる出来事に注意せよ』というものでした。
最初は悪戯だと思い、気にしないようにしていました。しかし、次の日、私のクラスで奇妙な出来事が起こりました。友達が授業中に急に倒れて、病院に運ばれることになったのです。幸いにも大事には至りませんでしたが、あの手紙のことが頭をよぎりました。
その後も何度か同じような手紙を受け取り、その度に学校で何かしらの出来事が起こりました。手紙の送り主が誰なのか、結局分からずじまいでしたが、その手紙が届く度に胸がざわついたものです。
手紙はある日突然届かなくなりましたが、私が今でも気にしているのは、最後に届いた手紙に書かれていた言葉です。『これからも見守っています』と。それが何を意味していたのか、今でも分かりません。」
私はこの日記を途中まで読み終えた時、背筋に冷たいものが走るのを感じました。これらの話は、ただの偶然や想像の産物ではなく、実際にこの学校で起こった出来事なのかもしれないという思いが頭から離れなかったのです。
日記を閉じると、古文書室の静けさが重く感じられ、まるで何かが私を見ているかのような気配を感じました。その後、私は日記を元の場所に戻し、古文書室を後にしましたが、心の中にはあの話がいつまでも残り続けています。
この日記がどうして、なぜ書かれたものなのか、今となっては知る由もありません。
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