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深夜の通話: 忘れられない電話の声 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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田中翔太は、都会の喧騒から離れ、静かな田舎の一軒家に引っ越してきた。仕事のストレスを癒やすため、自然に囲まれた環境での生活を望んでいたのだ。築50年ほどの古い家だが、手入れが行き届いており、引っ越したその日から快適に過ごしていた。

ある晩、仕事を早めに切り上げた翔太は、夕食を終えた後、リビングでくつろいでいた。テレビを見ながらリラックスしていると、突然電話が鳴った。古い家に備え付けられていた固定電話で、ほとんど使うことがないため、誰からの電話か不思議に思った。

「もしもし、田中です」

しかし、返事はなく、ただ無音が続いた。不審に思った翔太が再び「もしもし」と声をかけると、微かに遠くから雑音混じりの音が聞こえてきた。息遣いのようでもあり、何かを話しているようにも聞こえたが、言葉ははっきりしなかった。

「…誰ですか?」

すると、電話の向こうから、かすれた声で何かが聞こえた。

「…あの…」

その声はとても弱々しく、不安と疲労が混じっているようだった。翔太は奇妙な感じがしたが、再び声をかける。

「すみません、よく聞こえないのですが…」

しかし、声は途切れ途切れで、何を言っているのか全く分からない。翔太は、いたずら電話か、間違い電話だろうと考え、電話を切ろうとしたその時、受話器の向こうから急に明瞭な声が聞こえた。

「助けて…」

翔太は息を呑んだ。声のトーンは低く、切羽詰まったもので、耳元で囁かれたように感じた。心臓が鼓動を早め、背筋が寒くなった。

「どうしましたか?どこにいるんですか?」と翔太は焦りながら問いかけたが、返事はなかった。代わりに、電話の向こうで何かが割れるような音がした後、再び無音が続いた。

不気味な気持ちを抱えながらも、翔太は電話を切った。深呼吸をして落ち着こうとしたが、どうしてもあの「助けて」という言葉が頭から離れなかった。誰が、どこで助けを求めていたのだろう?何か重大なことが起きているのかもしれない。

その夜、翔太は落ち着かない気持ちでベッドに入った。眠りにつこうと目を閉じたが、何度もあの声が脳裏に蘇り、なかなか眠れなかった。

翌朝、翔太は前夜の出来事を考え続けていた。もしかしたら警察に通報すべきだったのかもしれない。そう思いながらも、どこか現実味がなく、自分の聞き間違いかもしれないという思いが頭をよぎった。

それから数日が経ち、翔太は少しずつあの電話のことを忘れかけていた。だが、ある夜、再び電話が鳴った。時計を見ると、前回の電話とほぼ同じ時間だった。嫌な予感が胸をよぎったが、受話器を取ると、再び無音が続いた。

「もしもし?」

翔太は慎重に声をかけた。今度は相手が答えるのを待ったが、電話の向こうからは何も聞こえなかった。ただ、微かな呼吸音が続くだけだった。

「また、あなたですか?何か困っているなら教えてください!」

焦りと苛立ちが混じった声で言うと、電話の向こうで一瞬、ノイズが走り、その後はっきりとした声が響いた。

「…今、後ろにいる…」

その瞬間、翔太の全身が凍りついた。電話を持つ手が震え、恐怖で頭が真っ白になった。後ろを振り返る勇気はなかった。受話器を落とし、そのまま電話線を引き抜いたが、部屋の中に漂う冷気と不気味な沈黙は消えなかった。

その夜、翔太は一睡もできなかった。何度も部屋の中を見回し、すべてのドアや窓を確認したが、誰もいないことを確認しても、安心できなかった。
翔太はそれ以来、固定電話を使わなくなった。あの電話は何だったのか、たんなるいたずらだったのだろうか、あの声の正体は何だったのか、彼には知る術がなかった。しかし、その夜の恐怖は、彼の心に深く刻まれ、忘れられない記憶となって残り続けた。



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