ある金曜日の夜、仕事が終わり、私はいつものようにオフィスビルのエレベーターに乗り込みました。ビルは20階建てで、私は最上階の20階から1階へと降りるため、エレベーターの「1階」ボタンを押しました。終業時間も過ぎ、ビルにはほとんど誰も残っていません。私は急いで家に帰りたい一心で、エレベーターが動き出すのを待ちました。
エレベーターは静かに動き出し、私は疲れた体をエレベーターの壁にもたれさせました。いつも通り、エレベーターの階数表示が一つずつ下がり始めます。20、19、18…。そのまま順調に進むと思っていた矢先、エレベーターが「14階」で突然止まりました。
「誰か乗ってくるのか?」
そう思いましたが、ドアは開きません。おかしいな、と思った瞬間、エレベーターは再び動き出しました。次に表示されたのは「13階」でした。しかし、再びドアは開かず、そのままエレベーターは「12階」に向かって進んでいきました。
少し不安に感じましたが、特に気にせず、エレベーターの動きを見守っていました。しかし、次の瞬間、エレベーターの表示が再び「14階」に戻っていたのです。
「え…?さっき14階は通過したはずじゃ…?」
私は混乱し、階数表示を見つめました。エレベーターは確かに再び「14階」に止まりました。しかし、またしてもドアは開きません。そして、再び動き出すと、今度は「13階」へ。そして「12階」へ。
「さっきと同じ…」
私は状況が呑み込めず、目の前で繰り返される階数に混乱しました。確かに「14階」「13階」「12階」を通過したはずなのに、また同じ階を繰り返している。何かおかしい。そう思っていると、再び「14階」の表示が点灯しました。
不気味な静寂がエレベーター内に広がりました。私は怖さが次第にこみ上げてきました。ボタンを何度も押してみましたが、エレベーターは反応せず、再び「13階」へと向かいます。同じ階を何度も繰り返し、エレベーターはまるで出口のないループに囚われたかのようでした。
「なんで?どうしてこんなことに…?」
心の中で何度も問いかけましたが、答えは見つかりませんでした。時間感覚も狂い始め、どれだけの時間が経過しているのかも分からなくなりました。エレベーターはただひたすら「14階」「13階」「12階」を繰り返すだけです。
私は頭の中が真っ白になり、何かから逃げ出したい気持ちでいっぱいになりました。エレベーターのドアを叩き、助けを求めましたが、応答はありません。エレベーターの狭い空間が次第に重苦しく感じられ、息苦しささえ覚えました。
その時、エレベーターのドアが不意に開きました。
私は驚きながらも、足を外に踏み出しました。目の前には「14階」と書かれたプレートがありました。エレベーターの中にいた時間がどれだけ長かったのかも分かりません。
廊下は薄暗く、どこか不気味な静けさが漂っていました。私は一瞬躊躇しましたが、この空間から抜け出さなければならないという強い衝動に駆られ、エレベーターを降りました。廊下を進んでいくと、いつもの「14階」とはまるで異なる、不気味な雰囲気に気づきました。
足音がやけに響き、遠くで微かな物音が聞こえました。振り返ると、エレベーターのドアがゆっくりと閉まり、まるで私を閉じ込めようとするかのように、静かに消えていきました。
私は廊下を急いで進み、非常階段へ向かいました。このままでは何か恐ろしいことが起こりそうな気がして、いてもたってもいられなかったのです。非常階段を駆け下り、なんとか1階にたどり着きました。
ビルを出ると、いつもの都会の夜景が広がっていましたが、私はしばらく心臓の鼓動が収まらず、ただ息を切らしながら立ち尽くしていました。あのエレベーターの中で体験した出来事は、現実だったのか、幻だったのか。あの14階は、現実だったのか、幻だったのか。
それ以来、私はあのビルのエレベーターに乗るのが怖くなりました。何が起こったのか、答えは分からないままですが、あの「14階」「13階」「12階」を繰り返すエレベーターが、今でも心のどこかで私を引き込もうとしているのではないかという恐怖が、今でも消えることはありません。
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