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未来を映すカメラ:ある写真愛好家の奇妙な体験 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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私は昔から写真が好きで、フィルムカメラに特別な思い入れがありました。デジタルカメラが主流になった今でも、あの手応えや現像するまで何が写っているのか分からないワクワク感が、どうしても忘れられなかったんです。そんなある日、たまたま訪れたフリーマーケットで、古いフィルムカメラを見つけました。年季の入ったボディにどこかノスタルジックな雰囲気を感じ、気づいたらそのカメラを手に取っていました。値段も手頃だったので、ほぼ衝動買いです。

初めてそのカメラを使ったのは、友人たちとの小旅行の時でした。山間の町に出かけ、古い神社や美しい自然を背景に何枚も写真を撮りました。特に深く考えず、仲間と笑い合いながらシャッターを切っただけで、そのまま家に帰り、撮影したフィルムは数週間も放置してしまっていました。

しばらくして、ようやくフィルムを現像に出しました。現像を受け取りに行った帰り道、撮った写真をざっと確認していると、1枚の写真が目に留まりました。自分たちが並んでいる背景に、見覚えのない建物がぼんやりと映っていたのです。少し不気味な気持ちがしたものの、気のせいか、あるいは写真の現像ミスだろうと、その時は特に気に留めませんでした。

ところが、数ヶ月後にその場所を通りかかった時、驚くべき光景が目に飛び込んできました。写真に写っていたのと同じ場所で、大規模な工事が始まっていたのです。工事現場には新しいビルの設計図が掲示されていて、私はその建物が自分の写真に写っていたものと酷似していることに気づきました。少し不安に感じながらも、偶然だろうと自分に言い聞かせました。

その後も、そのカメラで写真を撮り続けましたが、次に現像した写真はさらに奇妙なものでした。友人たちと撮ったはずの写真に、自分自身の姿が変わって映っていたのです。確かにその時撮った場所で、自分のポーズや服装は覚えています。しかし、写真の中の私は、まるで数年後の自分のように少し老けた顔をしていました。背景も、当時の風景とは異なり、明らかに何か新しい建物や道が存在していました。その時点で、私の中でこれはただの偶然ではない、何かおかしいと感じ始めたのです。

不安に駆られ、同じ場所に友人を連れて行ってみました。しかし、そこには当然まだその写真のような風景は存在していませんでした。だけど、このカメラが未来の一瞬を捉えているのではないかという考えが、頭の中をぐるぐると回り始めました。日常生活の中で、ふとした瞬間にあの写真に映っていた風景が思い出され、徐々に現実とリンクしていくような感覚に陥りました。

最終的に、私はそのカメラを手放すことを決めました。手元に置いておくのが恐ろしくなったのです。なぜなら、次に写真を撮ったときに、さらに年老いた自分や、何か悪い出来事を映してしまうのではないかという強い不安が消えなかったからです。フリーマーケットで手に入れた時はただの古いカメラだったのに、それがこんなに恐ろしい経験を私にもたらすとは、夢にも思いませんでした。

カメラはその後、どこに行ったのか分かりませんが、あの体験は今でも鮮明に覚えています。もしかしたら、誰か他の人の手に渡って、同じように未来の一部を映し出しているのかもしれません。私はもう二度と、あのカメラで写真を撮ることはありませんが、もし未来を知りたいと思う人がいるなら、そのカメラは最適な道具かもしれません……ただし、その代償がどれほどのものか、覚悟が必要ですが。



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