消えた被写体：撮影したはずの人が写真から消える不思議なカメラ　怖い話　奇妙な話　不思議な話　短編集

ある女性が友人の結婚式で写真を撮ることになりました。彼女は新しく手に入れたデジタル一眼レフカメラで、美しい瞬間を逃さないようにたくさんの写真を撮影しました。結婚式の後、友人たちにその写真を共有しようと、さっそく確認していたのですが、いくつかの写真に奇妙なことが起きていることに気づいたのです。

撮影したはずの新郎新婦や、友人たちがまるで最初からそこにいなかったかのように、写真から消えていたのです。背景や風景はそのままで、周囲の人々も写っているのに、特定の人物だけが何故か消えていました。例えば、結婚式のメインイベントである誓いのシーンでは、新郎新婦が本来いるべき場所に全く誰もおらず、ただの祭壇だけが写っていたのです。

彼女は最初、カメラの不具合か、自分の操作ミスかと思い、データを詳しく確認しました。しかし、すべてのデータが正常で、特に写真に修正を加えたりするようなミスはしていませんでした。また、他の人が同じ瞬間に撮影した写真には、当然のことながら新郎新婦や友人たちはちゃんと写っていました。

気味が悪くなった彼女は、同じカメラで他のイベントでも写真を撮り続けましたが、その度に、特定の人々が写真から消える現象が繰り返されました。さらに興味深いことに、消えた人物の中には、後日、体調を崩したり、何らかの災難に見舞われる人もいたのです。まるで、カメラがその人物の存在を「予告的に消している」かのようでした。

彼女はそのカメラに何か異常な力が働いているのではないかと考え、調べてみたところ、驚くべき事実が判明しました。そのカメラは以前、事故に遭ったあるカメラマンの遺品であり、彼が生前に使っていたカメラだったのです。奇妙なことに、そのカメラマンもまた、撮影した写真から特定の人物が消えてしまう現象に悩まされていたという記録が残っていました。

最終的に彼女はそのカメラを手放すことを決心しましたが、カメラが現在どこにあるのか、誰が手にしているのかは分かりません。この「消えた被写体」の現象が再び誰かに起こるかもしれないという考えは、今でも彼女の心に残っています。

ほんとうにあった怖い話「年上の彼女」

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