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廃墟で見つけたカメラ:撮影したことで始まった恐怖の体験 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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私は学生時代から廃墟巡りが好きで、友人と一緒に心霊スポットや廃屋を訪れて写真を撮るのが趣味でした。特に何かを信じているわけではなく、ただのスリルを求めての遊びです。そんなある日、友人たちと一緒に、地元で有名な山奥の廃ホテルに行くことになりました。

そのホテルは、昔は高級リゾート地だったらしいのですが、火災事故が原因で閉鎖されたと聞いていました。周囲はすっかり自然に飲み込まれており、建物も荒れ果て、屋根の一部は崩れ落ち、壁は苔やツタに覆われていました。それでも当時の面影がわずかに残っていて、古びた看板やロビーの残骸から、かつては賑わっていたことが想像できました。

その日、私はいつものようにデジタルカメラを持参して、友人たちと廃墟を探検しながら写真を撮っていました。夕方の薄暗い光が建物に差し込み、雰囲気は十分に不気味でしたが、特に異常なことは何も起こらず、私たちはただ興奮しながら探索を楽しんでいました。

そして、その廃ホテルの最上階にたどり着いたとき、私は奇妙なものを見つけました。廊下の片隅に、埃をかぶった古いフィルムカメラが無造作に転がっていたのです。年代物のカメラで、壊れているようにも見えましたが、なぜかその場でとても強く引き寄せられ、私はそれを拾い上げました。好奇心に駆られ、思わずシャッターを押してみると、驚いたことにカメラは動作し、独特のフィルムの巻き取る音がしました。

それから私は、そのカメラで何枚か写真を撮ることにしました。友人たちはそのカメラを見て「よくそんな汚いもの触れるな」と笑いましたが、私は不思議な感覚に包まれながらシャッターを切り続けました。何かに導かれるようにして、廃墟の各部屋や廊下を撮り歩いていたのです。

その日はそれで終わり、私たちは何事もなく家に帰りました。しかし、翌日から奇妙なことが起こり始めたのです。

まず、カメラで撮影した写真を確認しようとしたとき、私のデジタルカメラのSDカードが読み込めなくなっていました。初めはただの機械的な不具合だろうと思っていましたが、何度か試してもカードは一切反応せず、中のデータがすべて消えてしまったようでした。その時点では少し不気味に感じましたが、大した問題ではないと思い、あまり気にしませんでした。

ところが、その夜、奇妙な夢を見ました。私は廃ホテルの中を一人で歩き回っていました。辺りは薄暗く、静まり返っているのに、背後から何かが私を見つめている気配がするのです。振り返ると、廊下の奥にぼんやりとした人影が立っていました。誰なのかは分かりませんでしたが、その人影がだんだんこちらに近づいてくるのがはっきりと見え、私は恐怖で動けなくなりました。夢の中で必死に逃げようとしましたが、足が動かず、その影が私に触れた瞬間、私は目を覚ましたのです。汗でびっしょりになり、心臓が激しく鼓動していました。

それ以降、同じような夢を見ることが何度も続きました。その夢の中では、必ずあの廃ホテルに戻っており、私はいつも何かに追い詰められていました。昼間でも、不意に誰かに見られているような感覚に襲われることがありました。特に、あの古いカメラを見つけて以来、部屋の中で急に寒気を感じたり、物音が聞こえたりするようになったのです。

ある日、耐えられなくなった私は、あのカメラを手放す決心をしました。捨てるつもりでゴミ袋に入れ、家の外に出しました。しかし、その夜もまた、あの夢を見たのです。今度はさらにリアルで、廃ホテルの中を歩く私の足音や、廊下のひんやりとした空気までもがはっきりと感じられました。そして、例の人影が現れた瞬間、私はその顔を目にしました。それは、明らかにこの世の者ではない、目が虚ろで血の気のない女性の姿でした。彼女は無表情のまま、私に向かってゆっくりと手を伸ばしてきたのです。

恐怖で目を覚ました私は、すぐに家の外に出て、捨てたはずのカメラを確認しました。しかし、そこには何もありませんでした。ゴミ袋は破れており、カメラだけが跡形もなく消えていたのです。

それ以来、あのカメラは見つかっていません。しかし、夢はまだ続いています。毎晩のように、あの廃ホテルに戻り、彼女に追い詰められるのです。カメラを捨てたことで、呪いから解放されたわけではないのかもしれません。

この話をしてからも、私はあの夢から抜け出すことができず、昼間でも時折背後に誰かの視線を感じます。あのカメラを手にしたことで、何か取り返しのつかないことが起こったのではないかと今でも思い続けています。



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