私が心霊写真にまつわる恐ろしい体験をしたのは、社会人になってからのことでした。大学の友人たちと再会し、久しぶりに旅行へ行くことになったのです。行き先は、少し山奥にある温泉旅館で、かつては賑わっていたものの、今は少し寂れた感じの場所でした。それでも静かで風情があり、リラックスできる場所だろうと、私たちは楽しみにしていました。
到着してすぐに、古びた旅館の雰囲気に驚きました。建物自体は昭和時代のもので、ところどころが傷んでいて、まるで時間が止まったかのようでした。しかし、それが逆に趣があるということで、みんなで写真を撮り合うことにしました。私は最新のスマホで写真を撮り、友人たちもそれぞれカメラやスマホで思い出を記録していました。
夕方、私たちは温泉に入り、夕食を楽しみ、部屋に戻ってから、撮った写真を見せ合うことになりました。お互いの写真を確認しながら、「ここは映えるね!」と盛り上がっていたその時、私は自分が撮った写真に何か異変を感じました。
それは、旅館の入り口で撮った1枚の写真でした。写真の中には、私と友人たちが楽しそうに並んでいるのですが、私たちの後ろ、旅館の古い木製ドアの隙間に、小さな「少女の顔」が写り込んでいたのです。最初は、何かの反射か、偶然映った物体だと思いましたが、ズームして見ると、その顔は不自然に真っ白で、目が虚ろな少女のものだったのです。
「これ…誰?」と友人に見せると、皆が驚き、顔を見合わせました。そこには他に誰もいなかったし、ましてや旅館には私たち以外の客もいませんでした。気味が悪くなり、すぐにその写真を削除しようと思いましたが、どうしても手が震えて操作できませんでした。
その夜、私たちはその話題を無理に忘れようとして、早めに就寝することにしました。しかし、眠りに落ちることはできませんでした。暗闇の中で、私はふと気配を感じて目を開けました。薄暗い部屋の中、視線を感じて振り返ると、窓の外にぼんやりと何かが動いているのが見えました。私は恐怖で動けなくなり、じっと見つめていましたが、それが何であるかを確認する勇気はありませんでした。
翌朝、私たちは早くこの旅館を後にすることに決めました。全員が昨夜、何かしら不気味な体験をしていたのです。チェックアウトの際、旅館の女将にあの写真のことをそれとなく話してみました。すると、女将の顔が一瞬険しくなり、こう言ったのです。
「ああ…それは、昔ここで亡くなった少女かもしれません。この旅館は昔、子どもが事故で亡くなったという話があってね。その頃から、時々お客さんが不思議な写真を撮ることがあるのよ。」
その言葉に全員が震え上がりました。私たちはすぐに車に乗り込み、その場を離れました。しかし、恐怖はそれで終わりませんでした。
帰宅後、私は再びスマホの写真を確認しました。削除したはずのあの少女の写真が、なぜかスマホのアルバムに戻っていたのです。しかも、前よりも鮮明に少女の顔がはっきりと映っていました。まるで、こちらを見つめて笑っているかのような表情で。
何度削除しても、その写真は消えませんでした。次第に、スマホの他の写真やアプリにも異常が現れるようになり、とうとう私はそのスマホを処分するしかありませんでした。新しいスマホを手にしてからは異常現象は起こっていませんが、あの時の写真のことを思い出すと、今でも背筋が凍ります。
心霊写真というのは、ただの噂や作り物だと思っていた私が、実際にその恐怖を目の当たりにするとは思いもしませんでした。あの少女の霊が、今もあの旅館に囚われているのか、あるいは誰かの写真に再び現れるのか、それは分かりません。ただ、一度でも「見てしまった」者にしか分からない恐怖が、そこには確かに存在しています。
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