小学校の教室で感じた背中の視線…誰もいないはずの場所で囁かれた恐怖の真実とは？
私は地方の小さな小学校で教師をしている。長年教員として働いてきたが、この町に来てからまだ数年しか経っていない。小さな学校で、生徒たちは素直で可愛く、教師としてもやりがいを感じていた。しかし、ある年、私がその学校で奇妙な体験をすることになるとは夢にも思わなかった。
秋の夕暮れ、私が教室で一人残業をしていた時のことだ。季節は過ぎ、日は早く落ちるようになり、教室内は薄暗くなっていた。生徒たちはすでに帰宅し、静かな学校に私一人だけ。クラスの成績表をまとめていたが、いつもと違う異様な気配を感じ始めた。
何かが、私の背中を見ている。
それは突然だった。背中に刺さるような視線があり、思わず身体が硬直した。教室には誰もいないはずだ。それなのに、背後からじっと私を見つめている何かがいるような感覚に襲われた。
私は恐る恐る振り返った。が、教室の中は空っぽだ。黒板の前にも、机の間にも、誰もいない。窓の外は夕闇が迫り、誰かが立っているわけでもない。
「気のせいか…」自分にそう言い聞かせて、再び作業に戻ろうとした。しかし、その視線は消えなかった。背中を冷たいものが這い上がるような感覚がして、どうにも落ち着かない。もしかしたら、どこかの生徒がふざけて隠れているのではないかと思い、教室内を改めて確認してみたが、やはり誰もいない。
その時、不意に耳元で何かが囁く声が聞こえた。
「グズ…ズゾォ…ニャウラ…」
不明瞭な音が、風に乗って届いたかのように微かに聞こえた。心臓が一気に早鐘を打ち、再び周囲を確認するが、誰もいない。それでも囁きは続いていた。
「ズズズ…ニャル…グゴグ…」
声はどこから聞こえてくるのか分からない。それなのに、確実に私の耳元で響いているようだった。私は恐怖で椅子にしがみつき、動けなくなった。身体は硬直し、全身に冷たい汗が流れ始めた。
「誰かいるのか…？」私は声を震わせながら呟いたが、返事はなかった。ただ、不気味な囁きが続いている。
「ニャウラ…グズズ…ゴゴ…」
恐怖でどうしようもなくなり、急いで教室から飛び出した。廊下もまた静まり返っていたが、背中には視線が刺さり続けていた。まるで誰かが、教室の奥深くから私をじっと見つめているようだった。
その後、私は校舎を出て、駆け足で家へと帰った。家に戻っても、背中にまとわりつく視線の感覚は消えなかった。夜になり、寝室でようやく落ち着こうとしたが、布団の中で背中に「何か」がいるような気配を感じ続けた。
数日が経ち、学校に戻るのが怖くなり始めた。それでも教師としての責任感で、再び職務に就いた。しかし、あの日以来、私は常に背中に誰かの視線を感じるようになった。授業中でさえ、生徒たちに向かいながらも、背後に何かが潜んでいる気配を拭い去ることができなかった。
そして、決定的な日が訪れた。
再び残業で遅くまで学校に残っていた時のこと。教室で作業をしていると、またもや背中に視線を感じた。振り返る気力もなく、そのまま作業を続けようとしたが、突然教室の窓に何かが映り込んだ。
窓ガラスに反射している自分の姿の背後に、はっきりと「目」が見えたのだ。
それは大きく、冷たい目だった。まるで私を観察しているかのように、じっと窓越しにこちらを見つめていた。全身が震え、その目から逃げようとして立ち上がったが、動くことができなかった。
「ニャウラ…ググ…ニャル…」
あの囁き声が再び耳元で響き、次第に大きくなっていく。声の意味は全く分からないが、その響きは徐々に私を追い詰め、背中にさらに重くのしかかるような感覚が増していった。
「誰か助けてくれ…！」私は叫びながら教室を飛び出し、再び校舎から逃げ出した。視線は追いかけてくるかのようだったが、校門を超えるとふっとその感覚が消えた。
それ以来、私はその学校で働くことが怖くなった。教師としての仕事は続けていたが、あの「目」の記憶がどうしても頭から離れなかった。
私は結局、あの学校を辞めることに決め、別の職場へと転職した。しかし、あの日の「目」と囁き声は今も私の中で生きている。背中に何かがいるという感覚は消えず、特に静かな場所に一人でいる時、その気配が再び近づいてくるのを感じることがある。
あの「目」は、今もどこかで私を見ているのかもしれない。
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