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動き出した古い写真:額縁の中の人物が生きている 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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ある日、私は実家の片付けをしていた時に、古いアルバムを見つけた。それは、祖父母が若い頃に撮ったと思われる白黒写真がぎっしりと詰まった古めかしいアルバムだった。私は懐かしい気持ちでそのアルバムを開き、古い写真を一枚一枚眺めていた。

その中に、特に目を引いた一枚の写真があった。写真の中には、祖母が若い頃の美しい姿が映し出されていた。白黒で少し色褪せたその写真には、どこか温かさと共に、時代の流れを感じさせるものがあった。祖母が亡くなってから数年が経ち、私にとってこの写真は大切な思い出となるような気がした。

そこで、私はその写真を一枚取り出し、額に入れて自宅のリビングに飾ることにした。毎日目に入る場所に祖母の笑顔があれば、少しは心が和むだろうと思ったのだ。

しかし、数日が過ぎた頃から、私は写真に対して奇妙な感覚を抱くようになった。何度かその額縁を通り過ぎるたびに、ふとした瞬間、祖母の表情がわずかに違って見える気がしたのだ。最初は気のせいだと思い、深く考えなかった。

けれども、ある日ふと気づいた。写真の中の祖母が、微かに「動いている」ように見えたのだ。

「まさか…」私は信じられない思いで写真をじっと見つめた。写真の中の祖母は、確かに穏やかな表情をしていたが、その目が微妙に視線を動かしていた。額縁に入れた写真は完全に静止しているはずなのに、まるでそこに命が宿っているかのように、ゆっくりと動いている。

最初は錯覚だと思った。疲れているだけだと自分に言い聞かせ、その場を離れた。しかし、どうしても気になり、翌日もまた同じ場所で写真を見つめてしまった。

その日の夜、さらに奇妙なことが起こった。リビングでテレビを見ていた私は、額縁に目をやった。すると、今度ははっきりと、写真の中の祖母が「微笑んでいる」のが見えた。昨日までと同じ静かな表情ではなく、確かに微笑んでいたのだ。

私は思わず声を出しそうになった。心臓が激しく鼓動し、背中には冷たい汗が流れた。何度も目をこすり、額縁を確認したが、確かに祖母の顔は微かに動き、こちらに向かって微笑んでいた。

その瞬間、私は何か強い不安感に襲われ、慌ててその額縁を取り外し、写真を確認しようとした。だが、写真自体には何の異常もなかった。普通の古い写真で、祖母は静かに映っているだけだった。

しかし、額に入れて飾ると、再び彼女は動き始めた。まるで写真の中で生きているかのように、私をじっと見つめ続けている。

数日が経ち、私は恐怖と不安を抱えながらも、その写真をどうするべきか悩んでいた。祖母の姿はどこか穏やかで、特に怖いものではなかったが、それでも「動く写真」という現象に対してはどうしても耐えられなくなってきた。

最終的に、私はその写真をもう一度アルバムに戻し、二度と額縁に入れないことに決めた。写真はただの思い出の一枚に過ぎないはずだが、あの額縁の中に入れた時、何か異なる力が働いていたのかもしれない。

今もその写真はアルバムの中に静かにしまってある。しかし、時折そのアルバムを開くと、祖母がこちらをじっと見つめてくるような気がして、どうしてもそのページを閉じてしまうのだ。



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