卒業アルバムから消えたクラスメイト…写真から姿を消した彼の謎とは?
高校を卒業してから数年が経ち、私はふと懐かしさに駆られて卒業アルバムを開いた。仲の良かった友達や、当時の笑顔が詰まった写真を一つ一つ見返していると、楽しかった日々がまるで昨日のことのように蘇ってくる。
ページをめくっていく中、クラス写真が目に留まった。クラス全員で撮影した大きな集合写真だ。懐かしい顔ぶれがそこに整然と並んでいる。けれども、その写真を見ているうちに、私はある異変に気づいた。
「あれ? 誰かが…いない?」
クラスの一人、いつも前列に座っていたはずの「山田」というクラスメイトが、写真から完全に消えていた。彼が座っていたはずの場所には、ただ背景の教室の窓とカーテンが写っているだけ。まるで誰もそこにいなかったかのように、すっぽりとその部分が空いている。
「どういうことだ…?」私はその場所を指でなぞりながら、不思議な感覚に襲われた。写真が切り取られた形跡は一切なく、何度見直しても、その場所に「山田」がいたはずの痕跡は消えていた。
彼が欠席だったわけでもない。確かに山田は、卒業写真を撮った時にそこにいた。実際、その日を覚えている。他のクラスメイトたちと一緒に、笑いながらカメラの前に立っていたはずなのに…。
何度も写真を確認しても、彼だけがまるで存在しなかったかのように消えている。周囲のクラスメイトたちはみんな笑顔で並んでいるが、山田の姿だけがない。背後の教室の背景は鮮明で、まるで彼が元々そこにいなかったかのような違和感が強まっていった。
私は不安になり、当時の友人たちに連絡を取ってみた。クラスメイト数人に「卒業アルバムのクラス写真を見て欲しいんだけど」と頼んだが、返事はすぐに返ってきた。
「何言ってるんだ? 山田はそもそも、卒業写真の日、来てなかったじゃん。確かあの日、体調崩して休んでたんだろ?」
「え?いや、違うだろ。あいつ、確かにそこにいたよ。でも、アルバムには…写ってないんだ…」
電話の向こうで友人がしばらく沈黙した後、「お前、大丈夫か?」と言われてしまった。どうやら、他のクラスメイトたちは誰も山田がその場にいたことを覚えていないらしい。彼らの記憶の中でも、山田は卒業写真の日に欠席していたことになっているのだ。
私の記憶がおかしいのか? それとも、何かが起こっているのか?
不安と恐怖が押し寄せ、私はさらに過去の写真や記録を確認し始めた。学校のイベントや行事の写真を見返したが、そこには確かに山田が写っていた。修学旅行や文化祭などの写真には、彼が他のクラスメイトと楽しそうに映っている。それなのに、卒業写真にだけ、彼の姿が消えているのだ。
まるで、彼の存在そのものがその一瞬から「消された」ような感覚に襲われた。
山田自身と連絡を取ろうとしたが、連絡先はすでに変わっており、どこにいるのかもわからない。彼の家に尋ねても、家族は引っ越していたようで、何も手がかりがなかった。
その後、私は「山田」というクラスメイトの存在が、現実の中からも少しずつ消えていく感覚に苛まれた。卒業後に彼と関わった友人たちも、彼のことを次第に思い出さなくなり、私の記憶の中でも彼の存在はどんどんぼやけていくように感じた。
あのクラス写真は、今でも私のアルバムに残っている。そこには「山田」がいなくなった不気味なスペースがある。彼が消えた理由は未だにわからないが、ただ一つ確かなことは、彼は確かに「そこにいた」こと。だが、今やその証拠はどこにも残っていない。
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