目次
夜の帰り道
小学5年生のリョウは、友達と少し遅くまで遊んでしまい、暗くなってから一人で帰ることになった。人気のない帰り道は怖いし、なにより心細い。周囲はすっかり暗く、街灯も少ない道を進んでいくと、どこからかかすかな足音が聞こえてきた。
「誰か……いるの?」
小さな声でそう呟きながら振り返ると、暗闇の中に、遠くぼんやりとした人影が見えた。体が凍りつくような恐怖に襲われたリョウは、急いで走り出した。
走っても、走っても、背後からの足音はどんどん近づいてくる。人影がだんだんと大きくなり、リョウのすぐそばまで迫ってきた。
「助けて……!」
その時、リョウの目に飛び込んできたのは、帰り道にある小さな神社だった。
神社での祈り
リョウは神社の鳥居を駆け抜け、境内に飛び込むと息を整えた。何度か参拝したことがあるだけの小さな神社だったが、不思議とこの神社に入ると安心できる気がしていた。
「お願いです、助けてください……」
お賽銭箱の前で小銭を入れ、急いで手を合わせて祈った。
その時、不思議なことに、神社の境内に吹き込む冷たい風が止まり、静寂に包まれた。境内の奥に建つ小さなお社の前に、どこからか柔らかな光がぼんやりと浮かび上がった。
――その光は、どこか人の形をしているようだった。
「……リョウ、怖がらなくてもいいんだよ」
柔らかく響くその声に、リョウは驚いて顔を上げた。そこには白い衣をまとった優しそうな女性の姿が浮かんでいた。
守り神の登場
「だ、誰……?」
「私はこの神社の守り神。小さなリョウを守ってあげるから、大丈夫だよ」
守り神は優しく微笑み、リョウの背後に迫る気配を一瞥した。
すると、その瞬間、背後から感じていた重苦しい気配が、スッと遠ざかるのを感じた。
「リョウ、怖がらないで。あの影はもう近づけないから」
リョウが振り返ると、さっきまで自分を追いかけていた人影は、いつの間にか姿を消していた。
「……ありがとう」
リョウは心からの感謝の気持ちを込めて守り神に頭を下げた。
お礼のお参り
翌日、リョウはお小遣いを持って再び神社にお参りに訪れ、昨日の出来事を神社の神様にお礼を言いに来た。
「昨日は助けてくれて、ありがとうございました。また遊びに来てもいいですか?」
誰もいない境内に向かって小さな声でそう言うと、境内にふわりと風が吹き、まるで神様が頷くように思えた。
それからというもの、リョウは毎日の帰り道に必ずこの神社で手を合わせ、時には境内を掃除して帰るようになった。そして不思議なことに、あの夜以来、怖い影や不気味な足音に遭うことはなくなったという。
リョウにとって、神社はいつまでも守ってくれる安心できる場所となった。
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