小学5年生のユウタは、友達と下校する途中に、ふと思い立って神社に寄り道することにした。その神社は小さな鳥居と石段のある静かな場所で、昔からこの地域を見守っていると言われていた。
友達は怖がって「行かない」と言ったが、ユウタは一人で石段を上り始めた。普段はみんなで賑やかに歩く通学路も、この時ばかりは少し不気味で、足を踏み出すごとに後悔しそうな気持ちが胸に広がっていった。
目次
神社での奇妙な出来事
境内にたどり着いたユウタは、小さな手を合わせてそっと願いを込めた。「何か楽しいことがありますように」と。
けれど、手を合わせてしばらく経っても、不思議と体が動かない。まるで境内のどこかに目に見えない気配が漂っているようで、ユウタは息をのんだ。
その時、背後から妙な冷たい風が吹き付けた。鳥居を抜けた先に立っている誰かの気配を感じて、ユウタはゆっくりと振り返った。
神社に現れる異様な影
背後にいたのは、見たこともない黒い影のような存在だった。人間のような姿をしているが、顔はぼんやりとした輪郭しか見えず、真っ黒な影だけが漂っている。その影は、じっとユウタを見つめているようだった。
ユウタは息を呑み、逃げようと思ったが体が動かない。影はゆっくりと近づき、冷たい気配がさらに強まっていく。
ユウタは、怖くてたまらなかったが、頭の中に浮かんだのは神社が守ってくれるという話だった。
「助けて……」
その言葉が自然と口をついて出た瞬間、影はピタリと動きを止めた。
神社の守り
ユウタが目を閉じて震えていると、突然、神社の奥から鈴の音が響き渡った。その音は、どこか温かく、穏やかで、ユウタの胸に安心感が広がるような感覚をもたらしてくれる。
目を開けると、境内の中央には薄明かりが差し込み、光が静かに揺れていた。光がふわりと舞い上がり、黒い影の方へと向かっていく。
影はその光に包まれると、まるで何かに怯えたように後ずさりし、徐々にその姿を薄くしていった。そして、ついには完全に姿を消してしまった。
ユウタはほっとして、恐る恐る光のある方を見つめた。その光はふんわりと漂いながら、彼の周りを一周して、再び神社の奥へと静かに消えていった。
無事な帰り道
その日以来、ユウタは毎日神社にお参りをするようになった。あの出来事は誰にも話さなかったが、毎回鈴の音が優しく響くたびに、あの時神社が自分を助けてくれたと感じていた。
そして、ユウタは今も毎朝学校へ行く前に、神社に向かって「ありがとう」と小さく手を合わせている。
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