ある日、僕は骨董品店で不思議なアンティーク人形に目を奪われた。金色の巻き髪に、澄んだ青い瞳。どこか寂しげな表情をしたその人形は、首元に小さな鈴をつけていた。店主によると、この人形は「時々鈴の音が聞こえる」と噂があるそうだが、不気味さよりもその美しさに惹かれてしまい、僕はそれを手に入れて家のリビングに飾ることにした。
目次
不気味な鈴の音
最初のうちは、ただ部屋の一角に飾りとして置いていただけだった。しかし、夜が更けると、その人形がどこか別の雰囲気を漂わせるように感じるようになった。特にリビングの電気を消して寝室に向かうと、廊下の奥から、かすかな鈴の音が聞こえた気がした。
「……風か何かだろう」
最初はそう自分に言い聞かせていたが、次の夜も、またその次の夜も、かすかな鈴の音が聞こえてきた。リビングに行って確認するが、人形は何も変わらずに座っているだけで、動いた形跡もない。
けれど、深夜になると鈴の音はますます鮮明に聞こえ、僕の頭の中で疑念が膨らんでいった。
鈴の音の正体
数日後、夜中に再び鈴の音が聞こえた時、僕は恐怖を感じながらも意を決してリビングへと足を運んだ。静まり返ったリビングに入り、目を凝らしてアンティーク人形を確認する。すると、鈴が揺れることなく音もしていない。人形はただそこにあり、こちらを無表情で見つめているように感じられた。
だが、突然またかすかな鈴の音が鳴った。
音の出どころを探ろうとするが、音の方向がまるで定まらない。音が近づいたり遠ざかったりする中、胸の奥に不安がじわじわと広がった。
鈴の音の正体に迫る
ある夜、とうとう鈴の音があまりに近くで鳴り響いたため、僕は恐怖と好奇心に駆られて再び人形の前に立った。鈴を注意深く覗き込むと、鈴の中からかすかに囁き声のような、誰かが言葉を呟いているような音が漏れているのを感じた。
恐怖に足がすくみ、その場から動けなくなったが、再び耳を澄ますと、鈴の音はまるで何かを伝えようとしているように、微かに高低をつけて響き渡った。
「……助けて……」
そう囁くように聞こえた瞬間、全身に寒気が走った。人形は相変わらず動かず、ただ僕の目の前でじっとこちらを見つめているようだった。
最後の夜
それ以来、鈴の音はさらに頻繁になり、ついに眠れない日々が続いた。そしてある夜、リビングに人形がいないことに気づいた。慌てて部屋中を探すと、人形は廊下にぽつんと座り、鈴を揺らしていた。その時、確かに鈴の音が聞こえたのだが、それはこれまでよりも遥かに不気味で、心の奥底まで響き渡るような音だった。
その日を境に僕は人形を手放した。だが、手放してもなお、夜になると微かな鈴の音が耳に残るような気がしてならない。
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