喫茶店で私とリョウは、今日もアキラの話を楽しみに待っていた。しかし、今日の話はいつもと少し違っていた。アキラはパソコン越しに経験した、不思議な体験を語り始めた。
「これは、直接現場に行ったわけじゃないんだが、俺がある意味で遠くから人を助けた話だ。あるブログで、日々追い詰められていく人を見つけたんだ。」
「そのブログを最初に見つけたのは、偶然だった。内容は、日常のことや仕事の愚痴など、普通のブログだったんだが、ある日を境に、急に不気味な内容が増えていった。投稿者は日増しに『得体のしれない何か』に追い詰められていくようだった。」
アキラは、その時のことを思い出しながら語り続けた。
「最初はただ、『夜中に誰かが見ているような気がする』とか、『部屋の隅に気配がある』とか、そんな内容だったんだ。だが、投稿を重ねるごとに状況は悪化していった。やがて『寝ていると誰かが耳元で囁いてくる』『夜中に金縛りにあって動けない』という恐怖体験が増え始めた。」
リョウが不安げに尋ねた。「それで、その人はどうしてたんだ?」
「投稿者は、ネットの力を頼ろうとしていたんだ。コメント欄には『気を強く持って』とか『お祓いに行ってみたら?』というアドバイスが寄せられていた。でも、投稿者はそれだけじゃ追い詰められる状況から抜け出せなかった。日に日に症状は悪化し、コメント欄も救いの手を探るような雰囲気になっていった。」
アキラは少し黙り込み、コーヒーを一口飲んだ。
「ある日、投稿が『もうこれ以上耐えられない。部屋の中が冷たく、霊の気配が濃くなってきた』という絶望的な内容になったんだ。その瞬間、俺はこれは普通の方法じゃ解決できないと感じた。だから、コメント欄に、特別に効果のある御札が売られている神社を伝えたんだ。」
私とリョウはアキラのその行動に驚きを覚えた。
「俺が紹介したのは、過去にも助けられたことのある信頼できる神社だった。効果の強い御札を手に入れれば、多少の霊的な干渉なら防げると思ったんだ。」
「それから数日後、ブログに新しい投稿が上がった。『教えてもらった神社で御札を買ってきました。早速貼ってみたけど、少し気持ちが楽になった気がします』って。」
アキラの顔にわずかな笑みが浮かんだ。
「それ以来、少しずつ投稿が穏やかになっていった。『夜中に気配を感じることが減った』とか、『金縛りがなくなった』と、少しずつ霊の影響が弱まっているような内容が増えていったんだ。そして最後には『本当にありがとうございました。おかげで落ち着いて過ごせるようになりました』ってお礼の投稿がされた。」
リョウが安堵の息をつきながら言った。「それで、その人は救われたんだな?」
「ああ、少なくともそれ以来、投稿には追い詰められる内容はなくなった。ブログも落ち着いた雰囲気で、普通の日常が戻ってきていた。それで安心して、俺もそのブログから手を引いたんだ。」
「たまには、こういう間接的な方法で助けることができる。御札の力や、気持ちを強く持つことが霊に対して防御の役割を果たすことがあるんだ。」
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