目次
突然の知らせ
私には、年の離れた弟がいる。弟が生まれたのは、私が高校生の時だった。思春期真っ盛りで学校生活に忙しい私には、弟ができたという実感がなかなか湧かず、なんとなく距離ができたまま成長してしまった。
そんな弟が小学生のある日、不思議なことが起こった。
弟の「未来」の話
ある日、私が弟と一緒に散歩をしていると、ふと弟が私の横に並んで話しかけてきた。
「ねえ、お兄ちゃん。未来のことって知りたい?」
唐突な質問に少し驚きながら、「未来?」と聞き返すと、弟は少し得意げにこう言った。
「僕ね、未来が見えることがあるんだよ。お兄ちゃんと一緒にいる未来も、ちょっとだけ見えたんだ」
私は驚きつつも、子どもの戯言だろうと軽く流していた。しかし、弟の話しぶりにはどこか真剣なものがあり、いつもと違う様子が気になった。
奇妙な予言
弟は「未来でお兄ちゃんと出かける場所が見える」と言い、その場所について具体的に話し始めた。
「お兄ちゃんと一緒に高い山に登って、雲がいっぱい見える場所で写真を撮るんだよ。お兄ちゃんが笑ってる姿、すごく楽しそうだった!」
まだ計画もしていない未来の出来事を、なぜか弟は当たり前のように話していた。私も特に考えず「そうか、じゃあいつか行ってみようか」と答えたものの、やはり不思議な気持ちが残った。
未来の場所での出来事
数年後、弟が中学生になったある日のこと。私はふと思い立って弟を誘い、二人で山に登ることにした。あの日弟が話していた場所かどうかは分からないが、ふたりで山頂へと登り、彼が話していたように雲海が広がる景色を見渡した。空は晴れていて、周りの景色も素晴らしかった。
「ここ、あの時話してたところかな?」と弟に聞いてみると、弟は満面の笑みでうなずいた。
「そう、ここだよ。やっぱり本当に来たね、お兄ちゃん」
その後も楽しいひとときを過ごし、写真をたくさん撮った。弟は成長して少し大人びた顔つきになり、私は改めて成長を実感し、なんだか不思議な気持ちになった。
弟との思い出
その後、弟と私はそれぞれの道を歩み、少しずつ離れた生活を送るようになった。しばらくして、私がふと家のアルバムを見返すと、あの日の山で撮った写真が目に留まった。弟と並んで撮った写真には、二人とも笑顔が溢れている。
その写真を見て、また一緒に山登りしようかなと思った。
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