僕は高校生だけど、学校が嫌いだ。毎日繰り返されるいじめ。机に書かれる落書き、靴箱に詰め込まれるゴミ、無視と暴言の連鎖。いじめっ子たちがいつも楽しそうに笑う横で、僕は逃げ場を探しながら一日を終える。それが日常だった。
目次
裏道の神社
そんな日常から逃れたくて、日曜日の午後、僕は散歩に出た。家の近くの見慣れた道を歩いていると、不意に目の前に普段見かけない裏道が現れた。どうして今まで気づかなかったのだろう？そんな疑問を抱きながらも、僕は吸い寄せられるようにその道を進んだ。
すると、道の先に小さな神社がひっそりと佇んでいた。古びた鳥居に苔むした石段、賽銭箱もどこか朽ちかけていて、誰も手入れをしていないようだった。でも、妙にその場の空気が澄んでいて、僕は無意識のうちに鳥居をくぐり、賽銭箱に小銭を入れて手を合わせていた。
「どうか、いじめがなくなりますように……」
声に出さずにそう祈った瞬間、不思議な風が吹き抜けた。心地よい風だったが、なぜか周囲の景色が少しだけ揺らいだように感じた。
綺麗になったもの
その日の夜、家に帰ると違和感に気づいた。いつもいじめられて汚れている学校のカバンが、まるで新品のようにピカピカになっていたのだ。カバンの中を開けると、いじめっ子たちに落書きされた教科書やノートも、きれいになっている。
「どういうことだ……？」
さらに、上履き袋から上履きを取り出すと、それも履き古してはいるが綺麗な状態になっていた。昨日まで落書きだらけだったはずなのに、まるで嘘みたいだ。僕は混乱しながらも、理由がわからず、そのまま眠りについた。
学校の変化
月曜日、重い足取りで学校へ向かった。どうせまたいじめられるだけだ――そう思いながら教室に入ったが、そこで僕を待っていたのはいつもと違う光景だった。
いじめっ子たちは僕に絡むどころか、僕の存在に気づいていないようだった。彼らの目は僕を素通りし、まるで初めからいじめなんてなかったかのように振る舞っている。
それだけじゃない。これまで無視していたクラスメイトたちが、普通に話しかけてくるのだ。「宿題やった？」「部活どうする？」そんな何気ない言葉が、こんなにも温かいものだとは思わなかった。
新しい日常
その日を境に、僕の学校生活は劇的に変わった。いじめは完全になくなり、クラスメイトとの会話も増えた。担任の先生さえも、僕に対して以前より気にかけてくれているように見える。
1週間が過ぎ、2週間、3週間と経つと、僕は次第に確信し始めた。
これは、ただいじめがなくなっただけではない――もしかすると、あの神社に祈ったことで、いじめのない異世界に迷い込んだのではないか？
神社を探して
そう思った僕は、再びあの神社を探しに出かけた。同じ道を歩き、何度も裏道を探したが、あの時見つけた道も神社も見つけることができなかった。
「どこに行っちゃったんだろう……？」
諦めきれない僕は、あの神社があったあたりで静かに目を閉じ、心の中で感謝の言葉を述べた。
「ありがとうございました。この世界で、僕はちゃんと生きていきます」
風がそっと吹き、頬を撫でた気がした。目を開けると、そこにはただの静かな道が広がっているだけだった。
新しい未来
それ以来、僕はもう神社を探すことはやめた。いじめのあった現実に戻りたいと思うことは一度もなく、この「いじめのない世界」での生活を大切にすることに決めた。
あの日の神社は本当に存在していたのか。それとも夢だったのか――今となってはわからない。ただひとつ言えるのは、あの神社に出会えたことで、僕の人生が変わったということだ。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み
1冊115円のDMMコミックレンタル！
人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】
人気コミック絶賛発売中！【DMMブックス】
ロリポップ！
ムームーサーバー
新作続々追加！オーディオブック聴くなら - audiobook.jp
 | 新品価格 |
 |
 | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |
