小学4年生の僕は、放課後に学校の図書室で本を読むのが好きだった。クラスの友達と遊ぶのも楽しいけど、一人で静かに過ごせる時間も大切だった。
その日もいつものように図書室に寄り、好きな冒険小説を読んでいた。時計を見ると、すでに下校時間を過ぎていたが、読み終わるまで帰りたくなくて、最後のページを急いでめくっていた。
やがて本を閉じ、教室に置いてきた荷物を取りに行こうと廊下を歩いていると、ふと視線を感じた。振り返ると、廊下の向こうに見たことのない先生が立っていた。
目次
知らない先生の注意
その先生は、どこか古びた感じの学ラン風の服を着ていて、年齢もよく分からなかった。ただ、厳しい目つきでじっと僕を見ている。
「君、まだ帰っていないのか?」
低く響く声に背筋がピンと伸びた。
「あ……はい。今、荷物を取りに行って帰ります」
先生はゆっくりと歩み寄ってきた。
「放課後は早く帰りなさい。この時間に学校に残ると、良くないことが起きるぞ」
その言葉に妙な怖さを感じた。
「は、はい、すぐ帰ります……」
僕は急いで教室へ走った。
不気味な雰囲気
教室に戻り、ランドセルを背負って廊下に出ると、あの先生の姿はどこにもなかった。
「どこ行ったんだろう……?」
心配になりながらも、外へ向かって歩き出した。昇降口を抜けると、校庭にはもう誰もいなかった。
妙な静けさが学校全体を包み込み、いつもなら聞こえる鳥の声や遠くの車の音すら聞こえない。足早に校門をくぐり、家へ向かおうとしたその時――。
謎の記憶
「君、本当に帰るのか?」
不意に後ろから声がした。振り返ると、あの知らない先生が校門の前に立っていた。
「帰れって言っただろう。今すぐだ」
厳しい声に押され、僕は頷いてそのまま走り去った。
家に帰り、母にその話をすると、母は首をかしげた。
「そんな先生、学校にいるの?」
「ううん、見たことない人……」
次の日、学校の先生に昨日のことを話したが、誰もその先生を知らなかった。さらに驚いたことに、学ラン風の服を着た教師なんてこの学校にはいないというのだ。
放課後の謎
それ以来、僕は放課後に学校に残るのが怖くなった。あの先生が誰だったのか、なぜ僕に「早く帰れ」と言ったのか――それは今も分からない。
ただ、あの日から校庭を通るたびに気づくことがある。校舎の窓の向こうに、あの先生の影がちらりと見えるような気がするのだ。
それが幻覚なのか、それとも本当に見えているのか、僕には確かめる勇気がない。
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