怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

鏡のついたアンティークのドレッサー 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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私はインテリアが好きで、部屋をアンティーク家具で揃えるのが趣味でした。ある日、中古家具を扱うショップで見つけた古いドレッサーを購入しました。重厚な木製フレームに大きな鏡が付いていて、引き出しの装飾が特に気に入りました。部屋の片隅に置くだけで一気に雰囲気が変わり、気に入って毎日鏡を覗いていました。

鏡に映る「違和感」

最初の数日は特に問題ありませんでした。しかし、数日経つと、鏡に映る部屋の景色に微妙な違和感を感じるようになりました。例えば、部屋の一部の壁が鏡の中では歪んで見えることがあり、最初は「古い鏡だから仕方ない」と思っていました。

けれども、ある夜、ドレッサーの前でスキンケアをしていると、鏡の中に何か奇妙なものを見つけました。私の後ろには誰もいないはずなのに、鏡の隅に白い何かが揺れているのが映り込んでいたのです。

振り返ると何もありません。でも、鏡を見ると、その揺れる白い何かはまだそこにいました。

鏡の中の「目」

それから数日間、私はドレッサーを使わないようにしました。しかし、部屋を歩いているとふと鏡に目が行ってしまいます。そして、そのたびに違和感が増していきました。
ある日、思い切ってドレッサーを近くで見てみると、引き出しの装飾の中に目のような形をした彫りがあることに気づきました。まるで誰かがこちらをじっと見ているようで、その瞬間、全身がゾッとしました。

夜中、ベッドで寝ていると、突然目が覚めました。薄暗い中、ドレッサーの鏡がわずかに光を反射していました。ぼんやりと鏡を見つめると、そこに映る自分の顔がゆっくりと笑っているのです。もちろん、私は笑ってなどいませんでした。

引き出しの中の謎

次の日、私は怖さに耐えきれず、ドレッサーを処分しようと決めました。しかし、その前に一度だけ引き出しを開けてみることにしました。引き出しは古びていて少し固く、中には埃が積もっているだけでした。ところが、最下段の引き出しを開けると、そこには小さな紙切れが入っていました。

紙には、黒いインクでこう書かれていました。

「あなたを見ている。」

その瞬間、耳元でかすかな笑い声が聞こえ、心臓が止まりそうになりました。振り返っても部屋には誰もいません。しかし、鏡の中には、私の背後にもう一つの影が映っていたのです。

処分したはずのドレッサー

その後、私は急いでドレッサーを処分しました。二度と見たくないと思い、業者に頼んで遠くの廃棄場まで運んでもらいました。それで全て終わったはずでした。

ところが、翌朝、部屋に戻ると、あのドレッサーが元の場所に戻っていました。鏡は私を映しながら、どこか笑っているように見えます。それ以来、私はこの部屋にいることができず、引っ越しました。ドレッサーがどうなったかは、もう考えたくありません。



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