目次
謎の通知
大学生のカオリは、最近忙しい日々を過ごしていた。バイトと授業の合間を縫うようにしてSNSをチェックし、スマホが手放せない毎日だ。
ある夜、課題を終えてベッドに入ったカオリのスマホがポンと通知音を鳴らした。
「ん?……何のアプリ?」
通知を確認すると、見覚えのないアプリがインストールされていた。アイコンは黒い背景に白い目が描かれているシンプルなデザインで、名前は「見守り」。
「いつこんなの入れたっけ?」
不審に思いながらも、カオリは開いてみた。
不気味な機能
アプリを起動すると、画面にこう表示された。
「あなたの周りを見守ります」
下にはカメラのマークと「スキャン」のボタンがあるだけ。説明や詳細な設定はなく、不気味なシンプルさだった。
「なんだこれ……新手の占いアプリ?」
興味本位で「スキャン」を押すと、スマホのカメラが起動し、部屋の風景を映し出した。
「私の部屋をスキャンするの?」
カメラを部屋中に向けてみたが、特に何も起こらない。ただ画面には「スキャン中」と表示されるだけだった。
写るはずのないもの
一通りスキャンを終えた後、画面にこう表示された。
「1名確認」
「1名? 私しかいないのに?」
不安になり、再びカメラを部屋に向けてみると、ベッドの隅、部屋の隅――どこにも誰もいない。
しかし、画面には確かに人影のようなシルエットが映っていた。それは、カオリのベッドの後ろに立っているようだった。
驚いて振り返ったが、そこには誰もいない。ただ、カメラ越しにはその影が確かに存在していた。
増える人数
翌日、カオリは恐怖心を抑えながらも「アプリのバグだろう」と自分に言い聞かせ、スマホを操作していた。
だが、夜になると再び通知が届いた。
「新しい対象を確認しました。」
不安に駆られながらもアプリを開くと、画面にはこう表示された。
「2名確認」
「どういうこと……?」
再びスキャンを試みると、今度は部屋のドア付近に新たな影が映っていた。カオリはスマホを手に震えながら、部屋の隅々まで確認したが、やはり現実には何もいない。
壊れた日常
それから毎晩、通知が届くようになった。
「3名確認しました。」
「4名確認しました。」
影の数はどんどん増えていき、カオリの部屋中に立っているように映った。
怖くなったカオリはアプリをアンインストールしようと試みたが、スマホの設定画面からそのアプリを削除することができなかった。
「なんで消せないの!? こんなアプリ入れた覚えないのに!」
カオリはついにスマホを初期化しようとしたが、それでも通知音は鳴り続けた。
最後の通知
その夜、カオリはついに耐えきれず、スマホを机の上に放り出して布団に潜り込んだ。
しかし――
「ポン」
通知音が鳴り、カオリは恐る恐る画面を見ると、そこにはこう書かれていた。
「確認完了。あなたを見守る準備ができました。」
そして、カメラが自動で起動し、真っ暗な部屋を映し出した。画面にはカオリの寝ている姿と――その枕元に立つ、複数の人影が映っていた。
カオリは絶叫し、スマホを投げつけた。画面が割れる音とともに、不気味な人影も消えた。
消えたアプリ
翌朝、恐る恐るスマホを確認したが、「見守り」というアプリは消えていた。
「夢だったのか……?」
そう思おうとしたが、スマホのカメラロールには、昨夜撮影したはずのない写真が残っていた。そこにはカオリの寝顔と、無数の影が取り囲む姿が写っていた。
カオリはそれ以来、スマホを持つことが怖くなった。奇妙なアプリが再び現れるのではないか――そう考えるだけで、夜が眠れなくなるのだ。
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