目次
【プロローグ】
営業職の拓也は、地方都市での2週間の長期出張に出ていた。慣れない土地での忙しい仕事に疲れつつも、毎日の散歩が彼の楽しみだった。
夕食後、ホテル周辺を散策することで気分転換を図り、翌日の活力を得る。その日はいつもと違う道を選んで歩くことにした。ふと気がつくと、見知らぬ公園に足を踏み入れていた。
【奇妙な公園】
その公園は小さな広場と遊具、そしてベンチがいくつか置かれた普通の造りだったが、どこか異様な静けさが漂っていた。
「こんな場所あったかな…?」
周囲を見回しても、近くに住宅や人の気配はなく、どことなく時間が止まっているような感覚を覚えた。
拓也がベンチに腰掛けると、気のせいか風が吹き抜けたわけでもないのに木々がざわめき、何かを囁いているように聞こえた。
【初めての奇妙な出来事】
翌日も仕事を終えた後、拓也は再び散歩に出かけた。昨日訪れた公園のことが頭から離れず、もう一度確かめたくなったのだ。
「たしか、この道を曲がって…」
すると、また同じ公園にたどり着いた。しかし奇妙なことに、前日とまったく同じ場所に落ち葉が散り、遊具のブランコが同じ角度で揺れていた。まるで「昨日」のまま時間が止まっているかのようだった。
「気のせい…かな。」
そう自分に言い聞かせて公園を後にしたが、帰り道でも背後に誰かの気配を感じるような気がしてならなかった。
【公園の来訪者】
3日目、拓也は公園を避けようと別の道を歩いたが、なぜかまた同じ公園にたどり着いてしまった。
「こんなはずはない…」
その日は珍しく、公園のベンチに一人の男性が座っていた。白髪交じりの初老の男性で、じっと拓也の方を見て微笑んでいる。
「よく来たね。」
初対面のはずなのに、まるで以前から知っていたかのような話しかけ方だった。
「ここは特別な場所なんだ。君が気づいたのも何かの縁だよ。」
拓也は怖さを感じつつも、その言葉に引き込まれるように話を続けた。
【「公園の時間」】
男性の話によると、この公園は「時間の狭間」に存在しているという。この場所に迷い込む人は、心のどこかで何かを求めている。
「君も、何かを見つけに来たんだろう?」
「いや、ただ散歩していて…」
「違うよ。君は仕事や日常に疲れて、どこかで変化を求めているんだ。」
その言葉に、拓也はハッとした。たしかに、仕事に追われる日々の中で、自由や安らぎをどこかで渇望していたのかもしれない。
【消えない公園】
それからも、拓也は公園を避けようと別の道を歩くが、どんなルートを選んでも最終的にはあの公園にたどり着いてしまう。
そして、ベンチには必ずあの初老の男性が座っている。
「君がここを抜け出せるかどうかは、君次第だよ。」
「どういうことですか?」
「この公園は、君が決断をするまで消えないんだ。」
「決断って…何を?」
男性は微笑むだけで答えなかった。
【拓也の選択】
1週間が経った頃、拓也はとうとう公園に向かうことを恐れなくなっていた。それどころか、日々の疲れや迷いを少しずつ解消していく自分に気づいた。
初老の男性が言っていた言葉の意味が、徐々にわかってきたのだ。
「自分の中で答えを見つける。それだけのことなんだ。」
【エピローグ】
出張最終日、拓也が散歩に出ると、あの公園は影も形もなくなっていた。代わりに、ただの住宅街が広がっているだけだった。
「あの公園は、俺の心が作り出したものだったのか…?」
仕事に戻った拓也は、以前よりも前向きに業務に取り組めるようになった。公園での体験が、心の迷いを整理するきっかけとなったのだ。
ただ、彼の中には一つだけ疑問が残っている。
あの初老の男性は、いったい誰だったのだろうか?
もしあなたが不思議な公園に迷い込んだら、それは心が何かを探しているサインかもしれません。そして、その答えは、あなた自身の中にあるのです。
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