怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

不思議なゲーム機 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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ゲーム好きの僕は、最新のゲームもレトロなゲームも問わず、とにかくプレイするのが趣味だった。ある日、近所の古道具屋をぶらぶらしていると、見たことのないゲーム機が目に入った。

それは、小型の携帯ゲーム機で、画面は白黒、デザインはレトロそのもの。ゲーム機の表面には大きく「Memory Lane」というタイトルが彫られていた。価格も手ごろだったし、何よりその古びた雰囲気に惹かれて、すぐに購入した。

起動してみる

家に帰り、早速ゲーム機を起動してみた。電池を入れると、懐かしいピコピコ音とともにシンプルなタイトル画面が現れる。

「Memory Lane」
START

ボタンを押すと、ゲームが始まった。しかし、画面には見覚えのある風景が映っていた。

「これ……僕が小学生の頃に住んでた家の近所だ……?」

驚きながらも、キャラクターを操作すると、まるで当時の思い出を再現しているかのような道や建物が次々と表示される。

思い出の中へ

ゲームの中で、キャラクターが古い公園にたどり着くと、さらに驚くことが起きた。画面には、かつて仲良く遊んだ友人たちが表示されていたのだ。

「なんで……? これ、完全に僕の記憶じゃないか……」

ゲーム内で友人たちと話をすると、会話内容も当時の記憶そのままだった。忘れかけていた遊びや笑い合った時間が、鮮明に蘇ってくる。

ゲームを進めるうちに、画面には小さな犬のキャラクターが現れた。それは、僕が小学生の時に飼っていた犬、チロにそっくりだった。

チロとの再会

「チロ……?」

ゲームの中でチロを操作できるようになり、一緒に冒険を進める展開になった。画面越しではあるけれど、懐かしい仕草やしっぽの振り方が完全にチロそのものだった。

操作しながら、僕は自然と涙がこぼれていた。チロは僕が中学生の時に亡くなった大切な家族だった。

不思議な終わり

ゲームの中で冒険を続けていると、チロがふと立ち止まり、振り返った。画面にはこんなメッセージが表示された。

「そろそろ時間だね。ありがとう、一緒に冒険してくれて。」

その瞬間、ゲーム画面が暗転し、「Memory Lane」のタイトル画面に戻った。

もう一度プレイしようとしたが、それ以降、ゲーム機はどうやっても起動しなかった。

あのゲーム機はどこへ?

あれから、あのゲーム機を探そうと何度も古道具屋に足を運んだが、同じものは二度と見つからなかった。

でも、あのゲームを通じて過去の思い出や大切な存在と再会できたことは、今でも僕の心を温かくしてくれる。

あのゲーム機は、僕にとってただの「ゲーム」ではなく、記憶の中の宝物を掘り起こしてくれる不思議な存在だったのだと思う。



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