怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

知られざるゲームの世界 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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ゲーム好きの40代

ヒロシは小さい頃からゲームが好きだった。子供の頃はファミコンやスーパーファミコン、少し大人になってからはプレイステーションや最新のゲーム機に夢中になった。

40代となった今でもゲーム愛は衰えず、仕事が終わった後や休日にはコントローラーを握るのが楽しみだった。

特に、昔遊んだレトロゲームには特別な思い入れがあり、地元の個人経営のゲームショップをたびたび訪れては懐かしいソフトを探していた。

見つけた謎のソフト

その日もヒロシは、ふらりとそのゲームショップを訪れた。レトロゲームの棚を眺めていると、見慣れないゲームソフトが目に留まった。

パッケージには、青い空と広がる草原、そして佇む一人の少年が描かれている。タイトルは「時のかけら」

「こんなゲーム、聞いたことないな……」

ヒロシはレトロゲームには詳しいつもりだったが、このソフトは初めて見るものだった。価格も手頃だったため、試しに購入することにした。

店主に「これ、どんなゲームなんですか?」と尋ねたが、店主も首をかしげるだけで「仕入れた記憶がない」と言う。

ゲームを始める

家に帰り、早速古いゲーム機にソフトを差し込んで電源を入れると、ヒロシは驚かされた。

画面に映し出されたのは、数世代前のゲーム機とは思えないほど美しい草原と青空だった。風にそよぐ草の動きや、空に漂う雲がリアルに描かれている。

そして、どこか神秘的で懐かしさを感じさせる音楽が流れてきた。

「すごい……本当にこの古いゲーム機で動いてるのか?」

ヒロシは思わず見入ってしまった。

少年との出会い

ゲームの主人公は、パッケージに描かれていた少年だった。名前はなく、プレイヤーが自由に名付けることができた。

少年は、時のかけらという不思議な結晶を集める旅に出る。ゲームの中では、美しい風景が次々と広がり、不思議な動植物や村の人々との交流が描かれていた。

「これ……どうしてこんなに感動するんだろう?」

ゲームは派手なアクションも激しい戦闘もない。ただ、少年の成長を見守りながら、ゆっくりと物語を進めるものだった。

ゲームに宿る記憶

ある日、ゲームを進めていると、画面に見覚えのある風景が映し出された。それは、ヒロシが子供の頃に遊んだ近所の広場によく似ていた。

「これ……俺の思い出?」

さらにゲームが進むにつれ、少年が出会う人々の言葉や風景が、ヒロシの記憶と不思議に重なっていった。

例えば、村の老人が話すセリフは、子供の頃によく遊んでくれた祖父の言葉そのものであり、ゲームの中で少年が拾うアイテムは、昔ヒロシが大事にしていたおもちゃにそっくりだった。

最後のメッセージ

やがて、少年が旅の終わりにたどり着いたのは、小さな家だった。家の中に入ると、画面にはシンプルな文字が表示された。

「この世界は、あなたが大切にしてきた記憶でできています。」

音楽が静かに流れる中、少年は画面の中でヒロシを振り返り、微笑むように見えた。

ゲームが終わると、エンディング画面にはこう書かれていた。

「思い出はいつでもあなたのそばに。忘れないで。」

奇妙な余韻

ゲームをクリアした後、ヒロシは再びそのゲームをプレイしようとした。しかし、何度やっても画面が真っ暗なままで、再び起動することはなかった。

「あのゲーム……いったい何だったんだろう?」

もう一度店に行って聞いてみたが、店主は「そんなソフトは扱った覚えがない」と言うばかりだった。

ヒロシは少し不思議な気持ちを抱えながらも、どこか心が温かくなっているのを感じていた。



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