目次
【プロローグ】
40代の圭一は、小さな頃からゲームが大好きだった。最新ゲームもプレイするが、幼い頃に遊んだレトロゲームの魅力も忘れられず、今でも古いゲーム機やソフトを集めている。
近所にある個人経営のゲームショップは、彼にとって宝物のような場所だった。新品のゲームから懐かしいゲームまで、幅広い品揃えがあり、掘り出し物を見つけるのが圭一の密かな楽しみだった。
【奇妙なゲームソフト】
ある土曜日、圭一はいつものようにそのゲームショップに足を運んだ。店内の奥にあるレトロゲームコーナーを見ていると、どこか見覚えのないパッケージが目に留まった。
薄い青い背景に、金色のロゴで「Dreamscape」と書かれている。シンプルだが不思議と惹かれるデザインだった。
「こんなゲーム、見たことないな…」
圭一は頭の中で記憶をたどったが、どうしても思い当たらない。店主に尋ねてみたが、店主も「いつ入荷したのか覚えていない」という。
値段は安かったので、試しに購入することにした。家に帰り、古いゲーム機を引っ張り出し、カートリッジを挿入する。
【異次元のゲーム体験】
電源を入れると、画面にタイトルロゴが浮かび上がり、美麗な映像が流れ始めた。
「これ、本当にあの時代のゲーム機なのか?」
風に揺れる草原、奥にそびえる壮大な山々、そしてどこか神秘的な音楽が流れている。見た目も音楽も、当時の技術を超えているように感じた。
画面には簡単な説明が表示された。プレイヤーは「夢の世界を旅する者」となり、さまざまな地を巡る冒険をするらしい。
「まあ、設定はよくある感じだけど…」
そう思いながら、圭一はコントローラーを手に取り、ゲームを開始した。
【ゲームの中の癒し】
最初のステージは広大な草原だった。風が吹き抜ける音、遠くの鳥のさえずり、そして目の前に広がる鮮やかな景色――どれも夢の中に迷い込んだような感覚を覚える。
ゲームの目的は「自分が癒される場所を探す」というものだった。
「癒される場所…か。」
仕事に追われる日々で、心に余裕をなくしていた圭一には、このテーマが妙に響いた。ゲームを進めるたびに、優しい音楽と風景が彼の疲れた心を溶かしていく。
【不思議なメッセージ】
次第にゲームの内容が奇妙に感じ始めた。
ステージの中で、時折「自分に語りかけてくるようなメッセージ」が表示されるのだ。
「今日はよく頑張ったね。」
「忘れられない風景はありますか?」
「その頃のあなたは、笑っていましたか?」
圭一の心の中に眠っていた記憶が、少しずつ蘇ってくる。幼い頃に家族で行った海辺の景色、友達と遊んだ放課後の空気感――どれも日々の忙しさで忘れかけていたものだった。
【ゲームの最後のステージ】
ゲームは終盤に差し掛かり、「自分にとっての特別な場所」を選ぶステージにたどり着いた。
選択肢の中には、圭一が覚えのあるような風景が並んでいる。
それは、幼い頃に通った近所の公園、祖父母の家、初めて旅行した山の景色などだった。
「こんなこと、ゲームに入っているはずがないのに…」
圭一は困惑しながらも、公園を選んだ。その瞬間、画面に懐かしい景色が映し出された。
ゲームの中で歩いていると、子供の頃の自分が楽しそうに遊んでいる姿が映る。そして、画面には最後のメッセージが表示された。
「時々、忘れていた景色を思い出してみてください。それが、あなたを前に進ませる力になるでしょう。」
【エピローグ】
ゲームをクリアし、エンディングの音楽が流れる中、圭一はふと心が軽くなっているのを感じた。
「ただのゲームだと思っていたのに、なんだか癒されたな…」
翌日、ゲームショップに戻り店主にそのソフトのことを話したが、店主は首をかしげるばかりだった。
「うちにそんなゲームがあったかな?」
棚を確認しても、同じソフトはどこにも見当たらなかった。
**「Dreamscape」は、それ以来動かなくなったが、圭一の中にはあのゲームが教えてくれた言葉がずっと残っている。
「時々、心が疲れた時には、あなたの癒しの場所を思い出してください。」
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