目次
ゲーム好きの親友
60代のタケシは、ゲームが趣味の男性だった。若い頃に夢中になったファミコンやスーパーファミコン、その後のゲーム機も欠かさず触れてきた。ゲームが彼の人生の一部だった。
最近までは、同じくゲーム好きの親友であるコウジと頻繁に集まり、一緒にゲームを楽しむのが日課だった。年齢を重ねたとはいえ、二人の友情はいつまでも若々しかった。
しかし――
コウジが突然病に倒れ、この世を去った。
タケシの心は深い悲しみに包まれ、何をしても気力が湧かなかった。それでも「コウジならこんな時、ゲームで元気を出せと言うだろう」と思い、いつものようにゲームショップを訪れることにした。
レトロゲームとの出会い
その日、タケシはレトロゲームの棚を何気なく眺めていた。すると、懐かしいパッケージが目に留まった。
それは、キャラクターのカスタマイズが特徴の古いRPGだった。二人で何度も遊び、キャラのデザインや性格を考えるのが楽しかった記憶が蘇る。
「これ、まだ売ってたんだな……」
迷わず購入し、家に持ち帰った。
残されたセーブデータ
タケシは早速ゲーム機にカセットを差し込み、電源を入れた。中古品だったため、案の定、前の持ち主が残したセーブデータがいくつか保存されている。
「どんなプレイしてたんだろうな……」
興味本位で一つのセーブデータを選び、ゲームを始めてみると、まだ序盤の進行具合だった。
画面に映し出されたキャラクターの名前を見た瞬間、タケシの手が止まった。
「コウジ」
親友と同じ名前がつけられたキャラクターがいた。そして、その隣には自分と同じ名前のキャラクター。
「まさか……」
さらにキャラクターのデザインを見ると、それぞれの顔つきや特徴が彼ら自身を彷彿とさせる。コウジのキャラは笑顔が優しげで、タケシのキャラは少し無骨な雰囲気――二人の個性がそのままだった。
親友との再会
タケシは震える手でゲームを進めてみた。
キャラクター同士のやり取りも、まるでコウジと自分の会話を再現しているかのようだった。コウジのキャラクターが、ゲーム内で「大丈夫、大丈夫、いけるって!」と陽気に言う。
「おい、そんな無茶な作戦でどうするんだよ。」
思わず画面に向かって言い返すと、まるで親友と話しているような感覚に陥った。
ゲーム内で二人が進む道は、タケシとコウジがよく語り合っていた冒険の夢そのものだった。二人でいつかクリアしようと言っていたゲームの世界が、ここにあったのだ。
涙の中のプレイ
タケシはゲームを進めながら、気づけば涙が頬を伝っていた。
「コウジ……お前、これを俺に見せたかったのか?」
二人のキャラクターが一緒に戦い、共に困難を乗り越えるたびに、タケシは親友との思い出が蘇るようだった。
ゲームの中の冒険は続き、彼はその時間に救われていくような感覚を覚えた。
メッセージのようなもの
ゲーム内で進むうちに、イベントシーンで不思議なメッセージが現れた。
「また一緒に冒険しような。ありがとうな。」
それがコウジの言葉なのか、偶然そう見えるものだったのか、タケシにはわからなかった。ただ、その言葉がタケシの心を深く温めたことは確かだった。
新たなスタート
タケシはその後もゲームを少しずつ進めている。クリアを急ぐことはなく、二人で歩んだ思い出を噛みしめるように。
「ありがとう、コウジ。お前が教えてくれたこのゲーム、最後までちゃんと楽しむからな。」
ゲームはタケシにとって単なる趣味ではなく、親友と共に過ごすもう一つの時間になっていた。
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