目次
【プロローグ】
会社員の涼介は、ある日を境に奇妙な着信に悩まされるようになった。それは、知らない番号から毎日決まった時間にかかってくる電話だった。
最初の数日は無視していたが、何度も繰り返されるうちに、不気味さが増していった。
「なんだよこれ…一体誰なんだ?」
番号を調べても何の情報も出てこない。無視し続けるわけにもいかず、涼介はついにその電話に出ることを決意する。
【初めての応答】
その日の夜、電話が鳴る。いつもの番号だ。涼介は意を決して通話ボタンを押した。
「…もしもし?」
しかし、応答はない。ただ、微かに息遣いのような音が聞こえるだけだ。
「何なんだよ。いたずらならやめろ!」
そう怒鳴って電話を切ったが、その瞬間、電話の画面に文字が浮かび上がった。
「ごめんね。まだ話したくないだけ。」
涼介は慌ててスマホを見直すが、そんな文字が画面に表示されるはずがない。
「気のせいだよな…」
その夜は気味が悪くて眠れなかった。
【次第に増える不気味さ】
翌日も同じ番号から電話が鳴った。今度は話しかける前に、相手から声が聞こえてきた。
「…ごめん。でも、君が知るべきことがあるんだ。」
低く静かな声だったが、どこか聞き覚えがあるような気もする。それが誰の声なのかは思い出せない。
「誰だ?何が目的だ?」
質問には答えず、通話は切れた。
さらに奇妙なことに、その日の帰宅途中、涼介のスマホの通知に見覚えのないメモが表示された。
「見つけて。君が忘れたもの。」
涼介は何か重要なことを思い出さなければいけないのではないか、そんな焦燥感に駆られるようになった。
【過去の記憶】
次の日、電話越しの声はさらに明確になった。
「君が忘れてることがあるんだ。それを思い出してほしい。」
涼介は声を荒げた。
「忘れてるって何をだよ!俺は何も知らない!」
相手は静かに呟いた。
「あの夜のことを思い出して。」
「あの夜…?」
涼介の脳裏に微かな記憶の断片が蘇る。数年前、車で夜道を走っていた時に起きた出来事。雨の中、急に飛び出してきた何かを避けようとして、車がガードレールにぶつかった。幸い大きな事故にはならなかったが、そこで何があったのかを彼は曖昧にしか覚えていない。
【真実の追求】
その日の夜、涼介は電話の声に問いかけた。
「お前…あの時、何か俺に関係あるのか?」
声はしばらく沈黙した後、こう答えた。
「僕は、あの時ここにいたんだ。」
その言葉を聞いた瞬間、涼介の記憶が鮮明に蘇った。事故の直後、車を降りた彼は何かを確認しようと周囲を見回した。そして、見てしまったのだ――倒れている人影を。
しかし、怖さから警察には連絡せず、その場を去ったことを。
【最後の電話】
電話の声は静かに続けた。
「でも、謝りたいんだ。君を怨んでいるわけじゃない。」
「怨んでないって…お前、誰なんだ?」
相手は答えず、電話は切れた。その後、その番号からの着信はぱったりと止んだ。
だが、不気味なことに、涼介のスマホに最後のメモが残されていた。
「君が気づいてくれて嬉しい。さようなら。」
【エピローグ】
涼介は後日、その夜の事故現場を訪れた。警察や地元の情報を調べたところ、数年前のその場所で、雨の日にひとりの男性が亡くなったという記録があった。
彼の顔写真を見た瞬間、涼介は背筋が凍った。
彼が亡くなった理由は、未だ誰も知らないままだという。
あなたのスマホに、知らない番号から電話がかかってきたら注意してください。それは、あなたが忘れた何かを告げるためかもしれません。
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