目次
不気味な自販機
大学生のカケルは、深夜の帰宅途中で奇妙な自動販売機を見つけた。普段通る道にはなかったはずのそれは、古びたビルの壁際にぽつんと立っている。
「こんなところに自販機あったっけ……?」
やけに古臭く、塗装が剥げかけた外見。ボタンの下には手書きで「24時間営業」と雑に書かれた紙が貼り付けられている。
特に喉が渇いていたわけではなかったが、興味本位で立ち寄ってみると、商品ラインナップがまた妙だった。
見たことのない飲み物
缶ジュースやペットボトルが並んでいるが、どれも見たことのない商品名ばかり。
「リセットウォーター」
「ハッピーソーダ」
「ラストティー」
「何だこれ……?」
しかも、全て100円と格安。深夜のテンションも手伝い、カケルは「リセットウォーター」という名前のペットボトルを買ってみることにした。
飲んでみる
自販機の音がやけに大きく響き、取り出し口にペットボトルが出てきた。ラベルには簡素な文字で「リセットウォーター」とだけ書かれている。
家に帰ってから一口飲んでみると、特に変わった味はしなかった。水道水のような無味無臭の液体だ。
「何だ、ただの水かよ。」
そう思い、そのまま寝ることにした。
奇妙な翌日
翌朝、カケルは目を覚まして妙な違和感を覚えた。
部屋の中がすっきりしている。いや、正確には物が全くない。いつもベッドの横に置いていたスマホも、デスクの上に積まれていた教科書も、全て消えていた。
「……は?」
慌てて家中を探し回ったが、家具すらなくなっている。
消えた存在
仕方なく大学に行こうと外に出ると、今度は通りに人がいないことに気づいた。
「なんだこれ……」
普段は賑わう街並みが、完全に静まり返っている。どこに行っても、人どころか動いている車すら見当たらない。
自販機の前で
途方に暮れて歩いていると、昨夜の自販機の前にたどり着いた。
「これ、あの水のせいなのか……?」
恐る恐る再び自販機を覗くと、今度は「戻りたい人用」という新しい飲み物が1本だけ追加されていた。
「リセットした世界を元に戻すなら、これを飲め。」
そう書かれた紙が貼られている。
飲むべきか、飲まざるべきか
カケルは悩んだ。この奇妙な世界から脱出したい気持ちはあるが、もし戻った先が「何かしら悪い未来」だったらどうしようと考えてしまう。
しかし、誰もいない世界で生きていくのも限界がある。
意を決して「戻りたい人用」の飲み物を購入し、一口飲んだ瞬間――
元の世界へ
目を開けると、カケルは元の部屋に戻っていた。スマホも教科書もそのままだ。
「夢だったのか……?」
安心したのも束の間、ふと窓の外を見ると、通りを歩いている人々の顔が全て白い霧のようにぼやけていることに気づいた。
「な、なんだよこれ……」
元の世界に戻ったはずなのに、カケルはその場に立ち尽くし、ただ震えるしかなかった。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み
1冊115円のDMMコミックレンタル!
人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】
人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】
ロリポップ!
ムームーサーバー
新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp
新品価格 |
ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |