目次
プロローグ
いつものように会社から帰る夜、主人公の悠人(ゆうと)は、最寄りのバスに乗り込んだ。乗り慣れたバス路線、見慣れた車内――そのはずだった。
しかし、その日を境に、悠人の世界は奇妙なものへと変わっていった。
第一章:見慣れない景色
夜8時過ぎ、悠人は仕事を終えてバス停で待っていた。定刻どおりバスが到着し、乗り込む。乗客はまばらで、いつもの光景だった。
だが、発車してしばらくすると、車窓から見える景色がいつもと違うことに気づいた。住宅街の明かりが消え、代わりに濃い霧が立ち込める山道が広がっている。
「……こんな道、あったか?」
バスは霧の中を進み、やがて見知らぬ町の停留所に止まった。運転手が後ろを振り返り、無表情で一言だけ告げた。
「終点です。」
不安に駆られながらも、悠人は仕方なく降りることにした。
第二章:異世界の町
バスを降りると、そこはどこか懐かしくも奇妙な町だった。古びた建物、石畳の道、そして見上げると二つの月が浮かぶ夜空――明らかに現実の町ではなかった。
悠人は恐怖と好奇心を抱きながら歩き始めた。すると、遠くの店先で見覚えのある人物を見つけた。
それは大学時代の友人、祐介(ゆうすけ)だった。
「祐介? なんでこんなところに……!」
驚きながら駆け寄ると、祐介は少し困惑した顔をして言った。
「えっと……どなたですか?」
第三章:知らない友人
祐介の反応に、悠人は混乱した。
「何言ってるんだよ。俺だよ、悠人。大学で一緒だっただろ?」
しかし祐介は首を傾げたまま、覚えがないと言う。
「大学? 僕はこの町でずっと暮らしているんだが……。」
祐介の話を聞くうちに、悠人は恐ろしい可能性に気づいた。ここは自分の知っている世界ではない。これは、もし祐介と自分が友人にならなかった別の世界なのだ。
第四章:交差する運命
祐介は悠人を不審がりながらも、宿泊先がないなら自分の家に泊まるよう勧めてくれた。そこで、悠人はこの世界の祐介のことを少しずつ知ることになる。
この世界の祐介は、大学に進学せず地元で家業の雑貨店を継いでいた。性格は自分の知る祐介と同じだが、生活環境がまるで違う。
「俺たちの出会いがなかったら、こんな人生だったのか……。」
悠人は心の中でつぶやいた。
第五章:帰る方法
翌日、悠人は祐介に助けを求め、元の世界に戻る方法を探し始めた。町の住人に話を聞くと、「異世界に迷い込んだ者は、元の場所に帰るには“もう一度同じバスに乗る”しかない」という噂を耳にする。
しかし、バスが現れる場所は分からないという。
祐介はそんな悠人に協力し、一緒に町を歩き回ってくれた。途中で見つけた古いバス停で、悠人は祐介にお礼を言った。
「ありがとう。俺、本当はこの世界の住人じゃないんだ。」
祐介は不思議そうに微笑んだ。
「君がどこの誰であれ、困っているなら助けるさ。それが僕だからね。」
第六章:別れ
夜が更けると、濃い霧の中から再びバスが現れた。運転手は無言で悠人を待っている。
悠人はバスに乗り込む前に、もう一度祐介に向き直った。
「もし俺たちが別の世界で出会ってたら、きっといい友達になれたと思う。」
祐介は少し驚いたように微笑み、手を振った。
「君も元気でね。きっとどこかでまた会おう。」
結末
バスが走り出し、再び霧の中を進む。やがて、悠人は元のバス停に戻ってきた。
あの異世界は夢だったのか、それとも現実だったのか――。
悠人は今でも夜のバスに乗るとき、あの二つの月の光景を思い出す。そしてそのたび、異世界の町で出会った「私を知らない友人」の笑顔が浮かんでくるのだった。
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