目次
【プロローグ】
会社帰りのある夜、翔太はふといつもの路線バスではなく、違うバスに乗ってみようと思った。新しい道を見てみたいという、ほんの気まぐれだった。
しかし、そのバスは乗客が自分一人だけという奇妙な状況で、車内はやけに静かだった。
「こんな遅い時間だからかな…」
運転手も無言で、ただ淡々とバスを走らせている。窓の外は次第に見覚えのない風景へと変わっていった。
【異世界への到着】
どれくらい経っただろうか。バスが止まり、運転手が短く言った。
「ここが終点だよ。」
翔太が降り立つと、そこには自分が知る街とはまったく異なる光景が広がっていた。空には二つの月が浮かび、建物の形状は奇抜で未来的。それでいて人々の服装はどこか古めかしかった。
「どこだ、ここ…?」
途方に暮れて歩き出した翔太は、信じられない光景を目にする。
【友人との再会】
目の前を歩いていたのは、大学時代の親友・達也だった。
「達也…?おい!」
翔太が声をかけると、達也は振り返った。しかし、彼の顔には困惑の色が浮かんでいた。
「君…誰?」
その一言で翔太の心は凍りついた。
「いや、俺だよ!翔太だろ?大学で一緒だった…」
達也は首をかしげるばかりだった。
【別の世界の友人】
達也は全く翔太のことを知らないと言う。それどころか、この世界には翔太が存在していないことが判明した。
「…悪いけど、君のことは本当に知らない。でも、君が迷子みたいだから手助けくらいはできる。」
達也は親切で、翔太を自分の家に招いてくれた。そこで翔太は、この世界が自分の知る現実とは全く異なる「別の世界」であることを確信した。
【知らない友人の人生】
達也の家には写真が飾られていたが、そこには翔太の知る過去とは違う人生が映し出されていた。家族も友人も全く知らない顔ばかりで、どこか居心地が悪かった。
「達也、お前さ…もし俺たちが別の人生を歩んでたら、友達になってたと思う?」
ふと翔太が尋ねると、達也は笑いながら答えた。
「どうだろうな。でも、君みたいな人なら、きっと友達になれたと思うよ。」
その言葉に、翔太は少しだけ救われた気がした。
【帰る方法を探して】
翔太は元の世界に戻る方法を探すため、この異世界の情報を集め始めた。達也も協力してくれ、2人で奇妙な図書館や賢者のような存在を訪れたが、明確な答えは得られなかった。
ある夜、達也が静かに言った。
「君がこの世界に迷い込んだ理由は、きっとどこかにあるはずだ。」
翔太は複雑な思いを抱きながら、再び街を歩き回った。
【バスの再来】
そんな中、ある夜のことだった。街外れの静かな場所に、一台のバスが止まっているのを見つけた。それは、翔太がこの世界に迷い込むきっかけとなったバスだった。
運転手が無言で乗車を促す。翔太は振り返り、達也に別れを告げた。
「ありがとう。お前がいてくれて、本当に助かった。」
達也は微笑みながら手を振った。
「元の世界に戻ったら、その友達を大事にしてやれよ。」
【元の世界へ】
バスが再び動き出すと、窓の外の風景はゆっくりと翔太の知る現実の街並みに変わっていった。
停留所に降り立つと、そこは見慣れた風景だった。月は一つ、建物も普通の形だ。翔太はすぐに達也に電話をかけた。
「達也、元気にしてるか?」
電話越しの声は、いつもの達也だった。翔太は何も言わず、ただ会いに行くことを決めた。
【エピローグ】
異世界の達也との出会いは、翔太にとって不思議な体験だった。しかし、それは同時に自分の世界にいる友人の大切さを再認識させるものでもあった。
もし、別の世界であなたの友人と出会ったら、彼らはあなたを覚えているでしょうか?それでも、きっとまた友人になれるはずです。
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