目次
【プロローグ】
週末の夜、慎一は仕事の疲れを癒すため、車でドライブに出かけていた。地元ではあまり知られていない山道を走るのが好きで、静かな森の景色が彼の心を落ち着かせてくれた。
その夜も、いつもの山道を抜けるトンネルに差しかかる。薄暗いトンネルの中を進むと、突然、視界に「ノイズ」が走った。
テレビの砂嵐のようなザザッという映像が一瞬、車内のフロントガラス全体に広がったのだ。
「なんだ今の…?」
慎一は驚いて車を止めようかと迷ったが、ほんの一瞬だったため勘違いかとも思い、そのまま進んだ。
【トンネルを抜けた先】
トンネルを抜けた先には、いつもと同じように森が広がっていた。しかし、すぐに違和感を覚える。
木々の形状が奇妙だった。見たことのない色合いをした木が並び、その幹はまるで絞り込まれた布のようにねじれている。葉は青や紫に輝き、風も吹いていないのにかすかに揺れている。
「こんな木、あったか?」
慎一は怖くなり、アクセルを踏んで森を抜けようとした。
【奇妙な街並み】
しばらく進むと、開けた土地に出た。街に入ると、さらに異様な光景が慎一の目に飛び込んできた。
家々が、見たこともない形状をしている。三角形の屋根が途中でねじれ、壁は不規則に膨らんでいる。窓は楕円形や星形をしており、まるで建物自体が歪んでいるように見えた。
「ここ、どこだ…?」
慎一は恐る恐る車を降りた。街には人影が見えない。まるで誰も住んでいないゴーストタウンのようだった。
【不気味な気配】
慎一が街中を歩き始めると、奇妙な気配を感じた。建物の窓から誰かが覗いているような視線を感じるのだ。振り返るが、そこには誰もいない。
「気のせいか…?」
それでも気になり、近くの家の扉をノックしてみる。しかし応答はなく、扉を押すと簡単に開いた。
家の中はさらに奇妙だった。壁には意味不明な文字が書かれ、家具は全て宙に浮いている。引き寄せられるように部屋を見渡していると、不意に背後から声がした。
「ここに、何の用ですか?」
【謎の住人】
振り返ると、そこには人間に似ているが、明らかに違う何かが立っていた。背丈は高く、肌は薄い灰色で、目が異常に大きい。
「すみません…道に迷っただけで…」
慎一が言い訳をしようとすると、その存在は首を傾げ、不思議そうに言った。
「ここに来る者は皆、選ばれた者です。あなたはまだ帰れるかもしれません。その扉が閉じる前に。」
「帰れる…?」
慎一が聞き返そうとした瞬間、目の前の存在は一瞬で消えた。
【急いで戻る】
恐怖に駆られた慎一は車に飛び乗り、元来た道を戻ろうとした。しかし、トンネルがどこにあるか分からない。街を彷徨っているうちに、次第に空が赤く染まり始めた。
不安と焦りの中、ようやくトンネルの入り口を見つけた。慎一は迷わずアクセルを踏み込み、トンネルの中に突っ込んだ。
【元の世界へ】
トンネルを抜けると、そこには見慣れた森が広がっていた。木々は普通の形をしており、街並みも普段の光景に戻っていた。
「なんだったんだ…?」
そう思いながらも、慎一は恐怖で手が震えていた。
【エピローグ】
家に帰り、落ち着いた慎一はネットで「奇妙なトンネル」や「異世界」と検索してみた。しかし、それらしき情報は見つからない。
次の日、慎一は意を決して同じ山道を訪れた。しかし、そこにはもうあのトンネルはなく、ただ普通の山道が続いているだけだった。
もしあなたがトンネルを通る時、何かがおかしいと感じたら、そのまま進まない方がいいかもしれません。その先には、戻れなくなる世界が待っているかもしれないのです。
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