目次
【プロローグ】
休日の午後、隆一は街中の小さな古本屋に立ち寄った。古びた木の扉を開けると、店内には埃っぽい匂いが漂い、無数の本がぎっしりと並んでいた。
「何か面白い本でもないかな…」
彼は無造作に棚を眺めていると、一冊の古い装丁の本が目に留まった。表紙にはタイトルがかすれて読めないが、金色の文字がわずかに残っている。
「これ、いい雰囲気だな。」
特に深く考えず、彼はその本を購入した。
【本の中の写真】
帰宅後、隆一はその本を手に取り、ページをめくり始めた。表紙の内側には、誰かの書き込みがあったが、読み取れないほど薄れている。
ページをパラパラとめくるうちに、何かが本から落ちた。
「ん?」
拾い上げてみると、それは1枚の古い写真だった。セピア色になった写真には、見覚えのある顔が写っている。
「これ…うちの家族じゃないか?」
【不気味な一致】
写真には、幼い頃の自分と両親、そして祖母の姿が映っていた。背景には古い家が写っており、それは確かに自分が幼少期を過ごした家だった。
「なんでこんな写真が、あの古本の中に…?」
驚きとともに背筋が寒くなった。なぜなら、この写真を自分は見たことがなかったからだ。
【家族の記憶】
隆一は写真を持ってリビングに行き、母に見せた。
「ねえ、この写真、知ってる?」
母は写真をじっと見つめ、眉をひそめた。
「これ…昔、おばあちゃんの家で撮った写真じゃない?でも、この写真、どうして今ここにあるの?」
母もこの写真を見た記憶がないと言う。
さらに調べるため、隆一は祖母の家に行き、祖母にもその写真を見せた。祖母は写真を手に取り、目を見開いた。
「これ…確かに昔あったものだけど、ずっと前にどこかに失くしたはずだよ。」
【本の謎】
その晩、隆一はあの古本をさらに調べることにした。ページを一枚一枚めくりながら、他に何か挟まっていないか確認していく。
すると、本の最後のページにまた別の写真が挟まれていた。
その写真には、幼い頃の隆一が一人で写っていたが、奇妙なことにその背景には、見覚えのない森が広がっていた。
「こんな場所、行ったことないぞ…」
その時、ページの端に小さな文字が書かれているのに気づいた。
「君はまだ思い出していない。」
【思い出される記憶】
写真を見た瞬間、隆一の頭に鈍い痛みが走り、ぼんやりとした記憶が蘇った。それは、自分が幼い頃に何かを探して森の中を彷徨っている映像だった。
その記憶の中で、誰かが自分の名前を呼んでいる声が聞こえる。しかし、その声の主は家族ではない。
「誰だ…?」
朧げな記憶が蘇るたびに、不安感が増していった。
【本の持ち主】
翌日、隆一は再びあの古本屋を訪れた。しかし、店主は本のことについて何も知らないと言う。
「その本、結構古いもので、誰が持ってきたか覚えていないんだよ。君が買ったのは何年も前から置いてあったやつだね。」
店主の話を聞いても疑問は解けなかったが、最後に彼が言った一言が耳に残った。
「でも、その本を買った人たちは、みんな何か不思議な体験をしたって言うんだよ。」
【結末】
それ以来、隆一はあの本を手に取るたびに、夢の中で幼い自分が森を歩いている映像を見るようになった。そして、その夢の中で誰かが写真を手に持って待っている光景を目撃する。
だが、夢の中の記憶が完全に明らかになることはなかった。
本と写真は、まるで彼に何かを思い出させようとしているかのようだった――そしてそれは、彼が今もまだ気づいていない「過去の秘密」そのものかもしれない。
もし古本を買った際に、写真が挟まっていたら注意してください。それはあなたが知らなかった記憶を呼び起こす扉かもしれません。
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